第25章 五条悟 告白の後悔
「井上和香みたいな可愛くてエロい女の子が好きなんだよねー。花奏は悪いけど付き合えないな」
「そっか……ごめん」
はっきりお断りされた言葉を頭で噛み砕いた。
そりゃあ……無理……か……
17歳のとき。花奏の告白は見事に玉砕する。五条悟に一目惚れだった。容姿が、声が、シルエットが、完璧なタイプだった。
初めての淡い恋。小さな期待を込めて告白したはずだった。
真っ黒な悪魔は
一瞬で奈落の底に落とした。
「んーー、なんか悪いね?」
五条悟はサングラスを取り、可愛い童顔の口角を、ニッコリとあげた。
「まー俺はモテるからさ、特定の子とは付き合わない主義なのよ。セフレならオッケーだけど」
「え、いや、それはいいかな……」
呆気になった。普通は告白を断われば申し訳そうな顔や態度をしないのか。
「あ、みてよ。待ち受け井上和香にしちゃった。やっぱ女は胸と顔だよ」
携帯を見せる五条悟。
なんだこの男は。と。
目をむいた。
花奏はたじろぐ。
そのとき、初めて色眼鏡のフィルターを外した。盲目的な姿ではなく正しい"五条悟"を、初めてちゃんと見た気がした。
花奏の告白を断った後も、五条悟はデリカシーの欠片もない言葉を、数年にわたり花奏に投げ続けた。
「ねーねー、避けんなよ。僕が好き過ぎて引きずるのは仕方ないけど、避けなくてもいーじゃん。まー最強で顔もいいから仕方ないか」
ケタケタと笑う。自分の肩をお構いなしにさわる五条悟に、顔が真っ赤になった。わなわな震える花奏は、静かに殺意すら浮かんだ。
会うたびに恥辱の告白話を笑いのネタにする男は、"クソ"以外ない。
以後、真っ黒な青春を
呪術高専で過ごした。