第20章 隠岐くん(ワールドトリガー)
「可愛いねぇ」
「ホンマ、めっちゃ可愛いよなー」
「うん、本当に可愛いよね。欲しいよ、メッチャ可愛いね」
なんか可愛いのオンパレードだ。
私は頷き、隠岐くんを見た。
「っ、隠岐くん……」
目が、かち合う。
熱を帯びた瞳に、心臓が跳ねた。
「おかしいな。おれは、花奏ちゃんが、メッチャかわいいって言ってたんやけどな」
髪をすくって頬に唇を当てる。キスを注いでくる隠岐くん。
「ん……っ、隠岐くん……」
「花奏ちゃん……かわいいなあ、キスさせて……」
唇が重なったと思うと、抱きしめられる。膝の上に乗ってた猫がドアの方に向かって外に出た。
「あ、猫ちゃんが……」
「邪魔されたくないから、ドア閉めとくわ」
と、ドアを閉めて戻ってきた隠岐くんが微笑む。右目の下のホクロに目がいく。
「花奏ちゃんの顔、お預けされた猫みたい」
「っ、ち、ちがうし!」
欲しいような顔をしてた……!?恥ずかしい。
「あーごめん、堪忍や、許して」
私の頬を触れて、またキスを始める。
甘くゆっくり時間が過ぎる。舌が入ると隠岐くんの手が肩から腕に降りてくる。
胸に当たった。
「ん……隠岐くん……」
「メッチャかわいい……触らせて?」
返事をする前に服の上からふくらみを触る。
触られた場所が熱い。
「ん……あ、ん……」
流される。どうしよう。でも私の抵抗は可愛い子供のように弱い。
「花奏ちゃん、今日はせえへんから……今度ぜんぶ、ちょうだいな」
首すじにキスをつける隠岐くん。私は顔が真っ赤。全身が火照る。
「隠岐くん……、好き」
トロンとしてしまう。今しても、いいなんて思う私って変だな。
「おれも。じゃあ結婚してや」
「えっ、できないし、まだ」
「じゃあ、恋人になってや。あと、野郎に褒められても、スキ見せたらあかんで」
「え"っ、見せてないし」
「見せてた」ていう隠岐くんは拗ねたような目。むぅって口を尖らす。
「イコさんとかに見せてた顔、メッチャかわいいかったし、見せたらあかんで」
もしかして。
「嫉妬?」と聞くとさらに不機嫌になっちゃった。ちょっとおかしい。
「じゃあ、隠岐くんもかわいいって言っちゃダメ」
「了解」隠岐くんは言う。
「好きやで」
優しいキスがいっぱい降ってきた。