第20章 隠岐くん(ワールドトリガー)
「うわ!めっちゃ切ってるやん!」
マリオさんの声に
周りにいた人が振り返る。
「本当だー、似合うね、かわいーー」
「バッサリいったねーー、なんか雰囲気変わったよね、可愛い!」
「ボブ?いい感じじゃない!」
ボーダー本部に行くと、私の髪を見て、みんなが褒めてくれた。
「あはは、うん。バッサリいったんだ、いつも、髪の毛くくってたからさ、たまにはイメージ変えてみようと思って」
照れ笑いをする私。気恥ずかしい。まさか大注目されるとは。悪い気はしないけどね。
「うんうん、メッチャ良い感じや。似合うで」
「ありがとう。美容院で店長さんがカットしてくれたの。だからかな。凄く上手かったの」
とマリオさんと喋っていると、
「うわ、髪がない!」
と、後ろから突拍子のない
声が聞こえた。
「いや。ありますし」
「メッチャ切ったんやな。イメチェンってやつやな」
生駒隊のイコさんだ。振り返る前に分かる。声が特徴的だ。
「おはようございます、イコさん。そうなんです。雰囲気変わりました?」
「まあ普通やな」
私は、くくくっと笑い、身体を揺らす。やっぱりイコさんだ。
「アカン。ウソやウソ。ウソやで?メッチャ可愛い。惚れてしまうわ」
吹き出すのを堪えた。
「なにを、またワケ分からないことを……」
私は、イコさんの後ろに視線をやった。近づく足音と話し声。
カイくんと水上さん。そして2人と話しながら歩く隠岐くん。高鳴る気持ちを抑えて、声をかけた。
「おはよ、水上さん、カイくん、隠岐くん」
「おはよーさん……って!!!メッチャ髪切ったやん。わかった失恋やな。いつでも相談は乗るで」
ぽんぽん頭を撫でた水上さんに、私は思わず赤面してしまう。
「し、してませんし、失恋なんて!」
「かわいーですやん。その髪型好きですわ。うんうん似合う似合う」
カイくんもメッチャ笑顔。
ウソでも嬉しい。
「あ、そうかな?ありがとう」
あまり言い慣れてなくて
恥ずかしい。