第19章 サンジくん
「おーーい、サンジーーー!!」
バンとドアが開いて階段から降りてくるのはルフィだ。
と同時に巨大なため息を
吐いたのはサンジくん。
「ぁあ? んだよ?」
「あーーー腹へったーー、夜飯作ってくれよーー腹ペコで寝れねぇよー」
「ったく……仕方ねェなァ。先行っとけ」
ルフィは「にしししっ」て笑って階段を登った。わたしはサンジ君が壁になっていて、ルフィから見えなかったようだ。
サンジくんが
ゆっくりと私から離れる。
はぁ、と息吐いて。
「悪いな、花奏ちゃん、邪魔が入った」
「あ、ううん……気にしないで」
どこか……ホッとしている。
ルフィが来なきゃ最後までやっちゃってた。
服を整えて床を見ていた。
顔を見れない。恥ずかしい。
「……あとから部屋に行くから」
ボソっと聞こえて顔を上げた。
「え?」
サンジくんが戻り、
私に近寄り頭を引き寄せる。
「逃げるの……禁止だぜ?」
身体を抱きしめて、そのまま頬に手を添えて唇を重ねた。
「え……んんっ……!」
激しい口づけをされたあと、
サンジくんは急に身体を離す。
「くくく…、顔が真っ赤だぜ? 後でもっと可愛いく啼かせてやるよ」
唇を奪ったあと、
サンジくんは優しく笑みを作った。それから、軽快に階段を登っていく。
「あ、ドア、開けとくぜ? 真っ暗になるだろ?」
「な、な……あ、うん…」
私は立っていられない。サンジ君の紳士靴の鳴る音が遠ざかっていく。
それでも
その場から離れられない。
ふらふらで。酔いはとうに醒めていた。足に力が入らず床に腰を落としてしまっていた。
サンジ君は約束通り、ルフィの夜食を作ったあと、わたしの部屋にきて、甘い時間を届けてくれた。
fin