第17章 第13章の続き サソリさん
部屋の扉を開けた。靴を脱いで中へ入る。 あれ、ここ宿屋じゃん。泊まるの?……あれれ?
部屋には大きなダブルベッドがあり、枕側に柔らかな明かりが灯る。
奥にはガラス張りの浴室があり、ここは10畳ほどの洋室の部屋だ。
マタニティが備えており、白のバスローブもハンガーにかかっていた。
…………
「サ、サササ、サソリさん!? ここ、ここ……ここ!」
カッ!と顔が熱くなる。壁にかかる鏡に映る私は顔が赤い。
「風呂に入って来い」
「え!?ふ、ふろ!?」
なんで!?
「早くしろ」
「はい!」
待たせたら怒られるので、
とりあえず従った。
バスタオルを持って
私は脱衣所へ向かう。
上着を脱ぎ、お風呂のガラス張りの壁から部屋をみた。外からも中からも、丸見えだ。なんだこの部屋は。
サソリさんを見た。こっちを見ていない。ベッドに座り、私に背を向けている。なんでだ。いや見てよ。顔を赤くして、私を見てくださいよ。なんでなの。もう。
よほど私の身体に興味がないらしい。ムカつく。見てないのを確認しながら、洗うのもシャクである。
私は、サソリさんに背中を向けて、身体や頭を洗った。気持ちいいシャワー浴びているが、たまに身体が、揺れる。流石に今日は飲み過ぎらしい。
フラフラ足もとがフラついて、ぼうっとする。
酔いがけっこう回っているようだ。
シャワーを止めた。
身体をバスタオルで拭いた。白のバスローブを着て、浴室を出る。むわっとした浴室から、涼しい部屋に戻った。
サソリさんは、
まだ背を向けている。
「サソリさん、入らないの?」
私が聞くと
「入る」と言って
私を見ないで通り過ぎた。
ちょっとちょっと!
本当に興味がないのか。いっさい見ないってどーいうことなの。
くそ。サソリさんのシャワーシーンを覗き見してやる。
そう思ったけれど、やめた。
殺される。
というか無理だった。恥ずかしい。人様の裸体など、傀儡でも、音だけでも恥ずかしい。
気を取り直し、頭をわしゃわしゃと、バスタオルで拭いた。ドライヤーで髪を乾かした。
うとうと……眠気が襲ってくる。
ダブルベッドの布団の中に入った。気持ちいい。ふわふわしてる。
「サソリさん、先に寝ますね」
頭で言って目をつむった。