第16章 ワールドトリガー 風間さん
いつのまにか、スイッチが、
入ったらしい。
わたしを見る目がすわる。
「話がある」
「は、はい」
バクバクしてしまい、心臓に悪い。
なんだ、今日は、なにから入る。
ボーダーの戦い方?
日々の怠慢?
まさか先週防衛任務を
体調不良だと言ってサボったことだろうか。
わたしが思案を巡らせていると、
こっちを向けってチョップが入った。
「は、はい。風間さん、どうぞ」
「チョコはどうした。あげたのか?」
風間さんが、
低くトーンが落ちた声で
わたしに聞く。
「……ちょこ?」
「チョコレートのことだ」
「……!? 」
バレンタインの話だとわかり、
わたしは、瞬時に顔が赤くなる。
「……わたしてません…」
正確には、
渡せませんでした。ですが。
風間さんの顔を見れず、
手に持つマンゴーオレンジが入ったグラスを
見ながら言った。
渡したかったんですが。すみません。
「あれ!? おれ貰ったぜー? うまかったぜ? 形、変だったけどな。 アメーバーだろ?」
と太刀川さんが言う。
ちがうし。星だし。
いま言わなくていいから。黙っててよ。
「あれ、太刀川さん、アメーバーなんですか? おれんとこ、歪んだハートと宇宙人が入ってましたよ」
出水公平が言う。
ちがうし、お人形だし。
「アホか、お前ら! カタチはおかしかったけどな、味は美味かったぞ。花奏ちゃん、ありがとうなあ! 味は美味かったで!」
生駒隊の隊長、イコさんがウーロンハイを掲げながら言う。イコさん、ありがとうございます。だけどフォローなってないっす。
「花奏ちゃん、丸は、いちばん綺麗にできてたよ、バッチリだったよ」
嵐山さんが言う。
まる……丸めるだけだし、簡単だし。
すると、加古さんが、「あら」と言う。