第14章 ヤキモチ(サソリ)
「ぁあ"? 旦那にヤキモチ妬かれたいだぁ?」
花奏が任務からアジトへ戻ってきて、起爆粘土を作ってる最中のオイラの方へ、まっすぐに向かってきて、真剣な表情で話しかけてきたから、何ごとかと思えば、しょーもないことを言ってきやがった。
あー、ウゼェー、うん。
「だって、サソリさん、私のこと好きだって言ったくせに、全然ヤキモチ妬いてくれないんだよ? 私が誰と喋ってても平気な顔してるんだよ!? デイダラ!どうして!?ねぇ、どうして!?」
作業台の相席に座って、ギラギラとオイラを見つめる。
「いや、どーして、って…。旦那は結構…妬いてるよな、だよなー、うん?」
ちょうど通りがかった
トビにオイラは声をかけた。
「ああ、そうっスね。最近のあの人、怒り狂った猫みたいっスよ」
フゥー、フゥー、と逆毛が立った猫をイメージしたのだろう。花奏は変な顔になった。
「猫!? ぜ、全然違うし、ああー!とにかく、あからさまに分かるようなヤキモチ妬かせたいの! だって、いっつも私ばっかだし!」
プンプンして怒る花奏を、すっげェ可愛いって思うオイラは たぶん重症だ、うん。
旦那はちゃんと妬いてる。あからさまに態度に出ている。恋愛に鈍いオイラだって見てたら分かる。最近特に酷ェ、全然オイラに構ってくれねーし…うん。
筋金入りに、盲信的に、旦那をこよなく愛する花奏には、近すぎて見えねーらしい。
オイラは、ゆっくり息を吐いて、旦那に殴られる覚悟で、花奏の願いを叶えてやることに決めた。