第6章 約束
「いつまでもくっついてないで離れてよ。」
私はそんな彼を振り払う様にして離した。
「じゃぁ私、帰るから。」
「いや、今日は君を指名したから。」
「え?」
「今夜の俺の相手は君だよ。」
「もうやらしいことしないって言ったじゃない!」
「言ったよ。だから今晩は俺と一緒にいて、おしゃべりするだけだよ。」
「え??」
淫魔にとってセックスは食事と一緒のはずだ。
「でもお腹空くんでしょ?」
「1晩くらいなら大丈夫。」
そういうものなんだろうか。疑問符は残ったが、私の夕食もその部屋に運ばれてきてしまったため、帰るに帰れなくなってしまう。
結局その晩は本当に彼の部屋で過ごしてしまった。
彼の魔界の話などはとても新鮮で面白かった。途中でシャワーも貸してもらって最後はネグリジェ姿でベッドに寝転がり、彼と楽しくおしゃべりをしていた。
そうしていつの間にか私は眠ってしまった。
彼は本当に私の身体には手を触れず、約束を守ってくれたのだった--。