第6章 約束
「どうしてそこまでして私の笑顔が見たいのよ!」
思わず声が上擦る。
「この前、偶然チュンランとお茶してる所見たんだ。その時、君は笑ってて…。」
チュンランの名前が出て、内心ドキリとするが、少し前の話だとすぐにわかった。
「その笑顔がなんか…すごく可愛くて。」
胸が高鳴り始める。彼は私を背中から抱きしめた。
「俺にも見せて欲しいって思った…。」
すぐ近くで囁かれ、私はもう耳まで真っ赤で心臓が止まりそうになった。これではまるで…。
「悠子?」
無言不動の私を彼は不思議に思い、顔を覗き込む。私はそれにも気づかず、頭がパニック状態だった。
「悠子。顔真っ赤だよ?」
私はその言葉にようやく我に返り、彼の腕を振り払って、振り返る。
「あ、あなたがそんな恥ずかしいこと言うからでしょ!」
「恥ずかしいって?」
彼は小首を傾げた。
「その、愛の告白みたいなこと!」
「愛…?」
「そうよ!そうやって他の女の子口説き落としてきたんだろうけど、私には通じないからね!」
顔を真っ赤にして言っても説得力はないかもしれないが。
「愛とか口説くとかよく分からないけど。なんとなく今までの女の子とは違う気がする。」