• テキストサイズ

魔界の夜

第6章 約束


まっすぐ見つめる瞳はとても澄んでいた。少し八の字に曲がった眉がどこか哀しげで、まるで捨てられた子犬のようだ。

「なら、これから一生私のこと抱かないで。」

私はその視線から逃れるように目を逸らし、そう言った。
彼は思わず「えっ!?」と驚きの声をあげる。それはそうだろう。『その為』につれてきたのに、そんな条件は飲めるわけがない。

「できないならもうこの話はおしまい。」

私は彼の手を振り払い、ソファーから立ち上がった。

「待って!」

彼は私の肩に手をかけ、制止する。

「わかった。君には手を出さない。」

次に驚いたのは私だった。

「なに…言ってるの…?」
「君が言ったんだろ。もう君のことは抱かない。その代わり、俺に笑顔を見せてくれる?」

真剣だった。私には理解出来なかった。

それじゃぁまるで、彼が…。

私は顔が紅潮し始めるのを感じた。
どうしたらいいのかわからない私は、とにかく赤面を隠すために背を向けた。
/ 116ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp