第6章 約束
彼の部屋につくとベッドではなく、ソファーに誘導された。隣に腰掛ける彼の顔は真剣だった。
「一昨日のこと、ほんとにごめん…。あんな風に君のこと…。」
そう言われて、一昨日の光景がフラッシュバックした。
「やめて。思い出したくないの。」
私が強い口調で言うと、彼はまた「ごめん」と口にした。
「俺は今までこんな風に拒否されたことがなくて、どうしたらいいか分からなかった…。」
ずいぶん都合のいい生活をしていたようだと思ったが、口には出さずにいた。
すると彼は私の顔を覗きこむ。
「ただ君の笑顔が見たかっただけなんだ。」
「意味がわからない。」
「今まで気持ちよくさせてあげたら、女の子は皆喜んでくれた。今の生活を用意してあげたらもっと喜んだし、君も喜んでくれると思った。」
確かに彼は女性にある意味で尽くしているとも言えるのかもしれない。
「でも私にはそんなのいらない。」
「そう。君のこと勘違いしてた。だから…。」
彼は自然に私の手をその両の手で包み込み、顔を至近距離に近づけてくる。
「君が笑顔になる方法、教えて欲しい。」