第8章 緋色のエピローグ
降谷零率いる公安との一悶着から一夜明け。
昼頃に赤井さんのFBIの同僚だという、ジョディさんとキャメルさんが家を訪ねてきた。
昨日赤井さんが潜んだ車に乗ってた二人だ。
ジョディさんはザ・アメリカ人って感じの、スタイル抜群金髪美人。
キャメルさんは、めちゃくちゃガタイのいい、一見怖そうな風貌の男性。(一見怖そうな見た目に関しては、赤井さんの方が上を行くかもしれないけど)
赤井さんに二人を紹介され、わたしも彼らに紹介される。
「これが昨日言っていたかおりだ」
「初めまして。いろいろあって現在赤井さんと同居させて頂いてます、葵かおりです」
「もっとフランクでいいわよー!あなたシュウの彼女なんでしょ?」
「そ、そうですけど・・・」
初めて自分が赤井さんの恋人であることを人に明かしたからか、妙に気恥ずかしくてモジモジしてしまう。
「可愛らしいお嬢さんですね」
「お嬢さんか・・・キャメル、お前とそんなに歳は変わらない筈だぞ」
「えっ!?」「えー!」
衝撃。キャメルさんは、27歳だそう。そして日本人のわたしは、アメリカ人にとってはかなり若く見えるようで。
「眼鏡のボウヤもそうだが、かおりにも今回いろいろ協力してもらった。これからも協力関係が続くだろうから知っておいてくれ・・・飯にするか。かおり、手伝え」
今日は客が来るからと、朝からスーパーで色々買い込み、仕込みをしていた赤井さん。
食卓にズラりと料理を並べて、四人で頂く。
「かおりさん、料理上手ねー!美味しいわ」
「はい。美味しいです」
「これ、わたしじゃないんです!赤井さんが作ったんです・・・」
「シュウが!?」「赤井さんが!?」
「そうだが」
「・・・シュウって、料理できたっけ?」
「沖矢になってから始めたんだ。食費も安く上がるし、いい気分転換にもなる・・・」
「わたしもいつも赤井さんに作ってもらってばかりで・・・」
「へえ・・・本当に別人みたいね」
ジョディさんが赤井さんを見つめる顔付きは、なんだか切なそうに見えて。
赤井さんはというと・・・少し複雑な思いを隠して澄ましているような面持ち。
勘が鋭いのもこういう時は嫌になる。
ジョディさんは、赤井さんのこと、好きなんだろう。