第7章 緋色の帰還
数日後、事が動き出す。
FBI捜査官のジョディという女、俺の元恋人でもある。そのジョディの友人が何者かに襲われた。
彼女は同じくFBIのキャメルと共にその現場に駆け付けたそうだが、そこにバーボンと、もう一人組織の女、ベルモットが接触してきたそうだ。
たまたまその場にいた眼鏡のボウヤから、話の一部始終を先程電話で聞かされた。
事件は無事解決したそうだが、赤井秀一は生きているかもしれない、という疑惑が確信に近付く情報を、またひとつバーボンに与えてしまったようだ。
俺が生きている証拠は、俺自身でしかない。バーボンは、俺の所に必ず現れる。
この流れだとバーボンはおそらく、ジョディとキャメルを人質に取り、その命と引き換えに俺に正体を明かせと脅しをかけてくるのでは、と考えているのだが。
コチラにも、策はある。先日からボウヤと練っていた話だ。
早速ボウヤとかおりと阿笠博士も交えて四人で話し込む。
明日の昼には工藤優作さんもコチラに帰って来る。
作戦はこうだ。
工藤さんに沖矢昴に変装してもらい、この家で沖矢として、来るであろう降谷零を迎えてもらう。
かおりは、家でまあ普段通りにしていればいい。工藤さんの変装が見破られないようサポートをさせる。
俺はバーボンの仲間に追われるであろうジョディ達の乗る車にあらかじめ潜む。
バーボンが工藤さん扮する沖矢と接触中に、追っ手に姿を晒して沖矢と赤井は別人であると思わせるのが狙いだ。
そして眼鏡のボウヤが今回の司令塔。
あらゆる場所に仕掛けるカメラの映像、音声で全ての状況を把握しながら各々に指示を出す役割だ。
上手くいくだろうか。
おそらく、決戦は明日。
準備は万端。
今夜はのんびり過ごすか。