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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第1章 米花町2丁目21番地


廊下からコナンくんの足音が近づいてくるのが聞こえて。

わたしは沖矢さんのことで埋め尽くされそうになっている頭を無理矢理平常に戻す。


「はい!ホットコーヒー」

「ありがとう、コナンくん。とってもいい香りだねー」

「ボウヤ、豆から挽いてるのか?」

「うん、挽くのはボクじゃなくて機械だけどねー!えへへ」


照れながら言うコナンくんは、自分だけアイスコーヒーのようなものを飲んでる。ませてる。


「えっとー、じゃあ早速だけど、かおりさん、昴さん。優作おじさん達から聞いてるよね?」

「わたしと沖矢さんがこの家に一緒に住むって話?」

「僕はもともと構わなかったが、かおりさんとなら楽しみも増えそうです」

「かおりさんはどう?」

「わたしも、沖矢さんとなら仲良くできそうだよ」

「では決まりですね」

「はい。よろしくお願いします」


一礼して沖矢さんへ視線を移すと、彼もこちらを見ていた。
その瞳から目がそらせなくて、また頭がポーっとしてくる・・・

沖矢さんが微笑んだので、わたしもニッコリ笑い返す。

彼との間に、甘い空気が流れ出した気がする。


「・・・あれれ?ま、よかった!ボクちょっとトイレー!」


コナンくんは小走りで部屋を出ていく。
最近の小学生はこういう空気まで読めるのか。


暫し見つめ合ったままの状態が続き、先に口を開いたのは沖矢さんだった。


「また僕に見惚れてるんですか?」

「それもありますけど。沖矢さんのことをもっと知りたいなーと思って」

「奇遇ですね、僕も同意見だ」


沖矢さんが腰を上げ、こちらに寄ってくる。

すぐ隣までくると、ふわっと、甘い香りがして。
・・・キスされるかも、直感的に脳が判断したけど。


「昴さん!ちょっと来て!」


突然廊下から響いたコナンくんの大声によりそれは中断される。

沖矢さんの表情が一瞬曇り、でもすぐに微笑むと、わたしの耳元で囁いた。


「次は、邪魔させませんよ」


そしてやれやれ、とドアの方へ向かっていく。


一人残されたわたしは、天井を見上げる。もちろん、天井が気になる訳ではない。


近付いてみて分かった、沖矢さんの匂いは、想像よりも甘くてセクシーだった。
爽やかな青年の香りじゃなくて、大人の男性の色気を感じさせる香りで・・・
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