第1章 米花町2丁目21番地
この二人が、優作さんの言ってた二人なんだろう。
青いジャケットに赤い蝶ネクタイの男の子と、すらっと手足の長いこちらもジャケット姿の男性。
男の子の方に話しかけられた。
「こんにちは!かおりさんだよね?」
「ええ・・・あなたがコナンくん?」
「うん!初めまして!江戸川コナンです!優作おじさんとは遠い親戚なんだ!だからかおりさんとも親戚みたい!それでこのお兄さんが」
「初めまして、沖矢昴と言います、実は住んでいるアパートが火事で焼けてしまいまして。優作さんに相談したところコチラを紹介してもらって」
「まあ立ち話もなんだから中に入って!」
そう言って少年は門を開け、わたしと沖矢という男性を中へ招き、慣れた様子で玄関も開ける。
わたし達は応接室らしき部屋に通され、ソファに座らされた。
この子はこの家の事、よく知ってるみたい。
「二人ともコーヒーでいい?」
「ああ」
「うん。手伝うよ?」
「一人でできるから大丈夫!」
コナンくんが出ていき、急に広い部屋で初対面の男性と二人きりになる。
お互いの自己紹介をしながらも、職業柄か無意識に目の前の人物を観察していた。
明るい茶髪にインテリっぽい眼鏡。
近づいたら爽やかな香りがしそうな清潔感、伏し目がちな表情からは色気も感じる。
まだ季節は秋のはじめなのにハイネックのニットなのは、寒がりか。それともタトゥーでも隠してるのか。
でも、何考えてるのか分からない。表情があまり変わらないから、感情が読みにくい。
それにしても所謂イケメンである。
年齢はわたしより少し上なだけなのに、大人の余裕があるというか、包み込んでくれそうな雰囲気で。
・・・ハッキリ言って、包み込まれたい。
いつの間にかマジマジと沖矢さんの顔ばかり見ていたようで、視線が合ってしまい、慌てて逸らす。
「何か僕の顔についてます?」
「いえ!沖矢さんって素敵な方だなぁって、つい」
「かおりさんも、素敵ですよ。女探偵だと聞いてもっと強面のパワフルな人だと思ってましたが、こんなに可愛い方だったとは」
「そんな・・・」
「そうやって照れていらっしゃる様子も、益々可愛い」
見つめられて、心臓がドクリと跳ねた。
優作さんには悪いけど、こんな人と毎日一緒にいたら、理性がいつまで持つものか。