第5章 お兄さんには内緒で
今日は、久しぶりにゆっくり過ごせた日だった。
赤井と繋がっているかもしれない女性と過ごし、情報を得ることが今日の僕の主な仕事だった訳だが。
かおりさんを監視しつつも、同時に好みの女性でもある彼女との時間を楽しませてもらったようなものだ。
普段は公安、ポアロ、探偵業、組織と、寝る間もほとんどなく動き続けているので、貴重な休息になった。
しかし結局核心に触れるような情報は得られない。
かおりさんを風呂に入らせた間に、彼女の荷物を調べた。
盗聴器類、怪しい持ち物も無い。
僕に調べられることを見越して持ってきていないのか、そもそも、彼女は何も知らされていないのか。
沖矢昴はただの同居人だと彼女は言ったが、彼女はどう考えても、日常的に男に抱かれている身体をしている。女性の身体に触れればそれくらい分かる。
彼女と普段から関わりのある男は、奴しかいない。
なぜ隠す?隠すということは、沖矢が赤井であり、彼女に何か吹き込んでいるのか。
もしくは彼女が単純に、沖矢との関係を僕に知られたくないだけなのか。
考えても答えは出ない。
答えが出ないどころか、先程までの乱れたかおりさんの姿が脳内に蘇り、中々消すことができない。
喜んだり泣きそうになったり、困ったり驚いたり、可愛い彼女を見ているだけでも面白いと感じるが・・・行為に及んだときの表情は、破壊力抜群だった。
彼女は僕の想像を軽々と超えてきた。
脱がせてみて分かった、血管が薄らと青く透けて見える程、白くて本当に綺麗なカラダ。柔らかくてずっと触っていたくなる。
可愛い声で鳴いて、瞳を潤ませて僕を求めてくる姿は、しばらく忘れられなさそうだ。
これでは懐柔するつもりが、翻弄されてるじゃないか。
葵かおりという女性は、恐ろしい。
でも、赤井の元から引き剥がして自分の好きにしてしまいたい欲は、尚更高まるばかりだ。