第4章 標的は降谷零
「ただいまー!沖矢さんいるー?」玄関先で大声を出すと、彼は出てきてくれた。
「お帰りなさいかおりさん。ごはんできてますよ」
「わーい、もうお腹ペコペコですー」
なんて言いながら二人で盗聴器を確認する。もう、この作業にも慣れた。
何も無いことを確認して、やっと話せる。
「赤井さん、大変なことになりました」
「どうした」
「降谷零と土曜日に泊まりで出掛けます」
「・・・今日も会ってたのか」
「さっき事務所に来たんです。あ、それでこれポアロの新作のケーキだって」
こうなった経緯を説明する。
「言ってくれれば俺が車くらい出したぞ」
「だって今日受けた依頼だったし・・・」
「どこに泊まるんだ」
「対象者次第ですね」
「泊まりは危険だ、万が一お前が寝てる間に荷物を調べられたりしたら」
「盗聴器ですか?どうしよう・・・」
「それよりかおりは本当にいいのか?」
「・・・彼と一晩過ごすこと?」
「そうだ」
「安室さんとなら、大丈夫です。本性は分かりませんけど安室透は良い人です」
「良い人の面を被ってお前を騙そうとしてるんだ」
「分かってますって。赤井さんヤキモチー?」
「俺はかおりを心配して言ってるんだ」
「ちゃんと帰ってきますから!なんかホントにお兄ちゃんみたいになってきましたね」
結局、今回は盗聴器は無し。バレたときにわたしが危険な目に合うかもしれないから。
それと、郊外に出ない限りは距離を置いて赤井さんが尾行する。(郊外がダメなのは、車が少ないとバーボンなら気付く可能性が高いから、だそう)
「今日は一緒に風呂に入るか」
「赤井さんと入るの、初めてですね・・・」
「緊張するか?」
「ちょっと・・・」
少し俯いて肩をすくめると、頭を撫でられる。
「こういうときのお前は本当に可愛いな」
「降谷零にもこれ使えそう?」
「あいつの女の趣味は知らん」
「じゃあ赤井さんはどんな人が好きなの?」
「・・・俺に従順な女がいいな」
「赤井さんらしいですね」
「でもかおりのことは、結構気に入ってるんだぞ」
「わたしも赤井さん好きですよ。めちゃくちゃタイプなんですもん。ほら早く変装解いてください!」