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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第4章 標的は降谷零


その夜は赤井さんの部屋に呼ばれた。


「今日は頑張ったかおりに褒美がある」

「なになに!何ですか?」

「開けてみろ」


手渡されるそこそこサイズのある袋。袋の中の箱には見覚えのあるロゴが入っている。


「・・・見てたの?」

「かなり離れた所からだがな」


昼間降谷零と歩いているときに、欲しいなーと思って手に取っていたバッグだった。


「ありがとう!これ欲しかったのー!」


きゃいきゃい跳ねるように喜ぶ。


「こんな風にしてるときは、可愛いんだがな」

「いつ可愛くなくなるんですか」

「ん?今だな」

「ひどーい」

「それだそれ、もう寝るぞ、来い」


腕を引っ張られて近くに寄せられる。


「今日は、一緒に寝てくれるの?」

「嫌か?」


顔が近い。急に赤井さんを意識してしまって言葉に詰まる。首を左右に振って、嫌じゃない、と伝える。

彼の腕の中に閉じ込められるように抱きしめられて。

あごを掴まれ、上を向かされると唇が降りてきて。

・・・なんとなく、沖矢さんを彷彿とさせる優しいキスに身体が溶けそうになる。


身体を持ち上げられて、ベッドにドサリと落とされる。
・・・でもドサッと落とすあたりはやっぱり赤井さんだ。


広いベッドの真ん中に寝転び、向かい合う。吐息がかかりそうな距離だ。

髪を撫でられ、頬に触れられる。

わたしも彼の顔を、触ってみる。彼の目の下のクマが少し気になる。


「赤井さん、ちゃんと寝てます?」

「クマか?これは母親譲りの生まれつきだ」

「へー。じゃあお母さん似なんだ」

「ああ。俺と妹は母親似で・・・弟は父親似だな。俺の弟、誰だか知ったら驚くぞ」

「わたしも知ってる人なんですか?」

「日本では有名らしいな。将棋をやってるんだが、羽田秀吉って分かるか?」

「太閤名人!?・・・全っ然似てないんだけど!」

「顔も名前も知れてるんだな」

「すごいんですよ!太閤名人は。七冠王に最も近い男って言われてて」

「そうか。褒めてやりたいな・・・」

「・・・会えないんですもんね」

「今はな・・・」


溜め息混じりに切なそうに話す赤井さん。変装中も含め、彼が弱気になってる所を、初めて見た。

いつも強気で男らしい彼のそんな姿は、なんだか可愛くも見えて・・・

彼の頭を撫でて、唇に自分からキスをした。
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