第30章 後始末とこれから
しばらくすると、コナンくんの表情が緩んだ。
「だよな・・・安室さん」
「え、何か分かったの!?」
「・・・もしかして気付いてないの?・・・あ、かおりさんって、英語できないんでしょ」
「・・・悪い?」
「これからアメリカに住むんなら多少は勉強しといた方がいいと思うけど」
「そんなの分かってるよ!で?何が書いてあるの?」
「辞書引きながら確かめたら?」
「えー教えてよ・・・お願いっ!」
「ボクが言うのは荷が重いっていうか・・・でも赤井さんには聞かない方がいいと思うよ」
「そんなぁ・・・って、もう帰るの!?」
「だってもう用は済んだもん」
頼み込みも虚しく、コーヒーを飲み干してコナンくんは帰っていってしまった。
仕方なく、カードをもう一度眺める。
・・・英語ってことは、もしやこれ・・・なのか?
元々その紙に印刷されてるものだと思ってたごく薄い色の文字列が、実はメッセージだったり・・・するのか?
スマホで訳を調べながら、なんとなく零が言いそうな言葉に頭の中で変換してみると、たしかに。
安室透はもうすぐいなくなるけど心配するな。
離れていても僕はずっと君の味方だ。
そんな風な意味なんだと思う。
たしかにこれに気付いてたら、急いで警察署に駆けつける事も無かったかもしれない。
あ・・・でも零が生きてるって、コナンくんにバレちゃったのか。まあ彼なら大丈夫だろう。
ただ“安室透が死んだ”と思っているママ達には申し訳ないのだけれど、わたしの気分はなんだかスッキリしている。
コーヒーカップを片付けて。
今日はじっくり調べ物をしたい。
明日には秀一さんが帰ってくる。
わたしのパスポートもあと数日で発行されるだろう。
このままFBIに残るつもりの秀一さんとわたしが結婚したら、国際結婚になる訳なんだけど・・・それって手続きがかなり面倒らしく。
いつもは頼りになる秀一さんでも、さすがに結婚は初めてだからよく分からないそう。
「俺がグリーンカードを取得した時よりはおそらく簡単だろう」とは言われたけど絶対簡単じゃない・・・
海外旅行すら経験のないわたしには意味の分からない単語だらけ・・・
それに、まだ秀一さんを自分の親に会わせたこともなければ、わたしだって彼のご両親にまだ挨拶もしてない。
結婚って、大変だ。