第30章 後始末とこれから
家に入り、キッチンに置きっぱなしだった小さなカードを確認する。
けど、やっぱり只の手紙にしか見えない。
とりあえず花束を花瓶として使えそうな物に移し(花瓶なんて持ち合わせてなくて。アメリカに行ったら一つくらい買おうと思う)。
顔を洗面所で洗うと気分もサッパリした。コーヒーでも飲もうかと思ってた所。
スマホに着信があり、画面には“江戸川コナン”の文字。
・・・彼も“安室透”の死を聞き付けたんだろうか。
「もしもし?」
「あっ!かおりさん!あの・・・聞いてる!?その、安室さんのこと・・・」
いつもクールなコナンくんにしては珍しい、焦ったような声が受話器から聞こえてくる。まあ仕方ないか・・・
「知ってるよ。さっき遺体の確認もしてきた」
「えっ!?・・・ボク、今かおりさん家に向かってるんだけど、家に居る?」
「いるよ?」
電話を切ってほんの数秒後。インターフォンが鳴り、スケボーを抱えたコナンくんがやって来た。
コーヒーを二人分作り、彼にも出す。
「安室さん、死んでないよね?」
「安室さんは死んだよ」
「あーややこしいな・・・降谷零さん、彼は生きてるよね?」
「零が死んだとは、たしかに聞いてないね」
「じゃあ遺体を確認したっていうのは?」
「警察署で、横になってた人は、たしかに安室さんだったの」
「どーいうことなんだよ・・・せっかく・・・これから・・・」
「突然居なくなるなんてね・・・残される側の気持ちも考えてほしいよ」
花束に付いていたメッセージカードをふと手に取り眺める。
「何?それ・・・」
「昨日わたしの送別会でね、安室さんにもらったの」
「ちょっと見せて!」
「・・・っ!」
パッと手紙を取られた。
コナンくんはジーッとその小さな紙を怖い顔で見つめる。
もしかしたら、わたしには分からなかった隠し文字とか暗号がコナンくんなら分かるかもしれない。