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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第30章 後始末とこれから


身体が少し離れて、わたしも、零も、俯いたままぽつぽつと言葉を発する。


「・・・零は、分かってるでしょ、わたしの気持ち・・・」

「さあ・・・でも聞かない方が、いいんだろうな」

「そうだね・・・」

「こんなことカッコ悪すぎて言いたくはないんだけど・・・」

「・・・なに?」

「もしかおりさんが辛くなったり、もし恋人の事が嫌になったりしたら・・・いつでも頼ってくれればいいから」

「ありがとう・・・そうならないように頑張るけど」






涙がやっと落ち着いて、少し冷静になって考えれば、ここは警察署だったと思い出す。いつまでもここに居たら変じゃないのか。


「あの・・・わたし早く帰った方がいいよね」

「たしかにあまり長居する場所じゃない」

「だよね・・・わたし顔、変じゃない?すごい泣いた」

「どんな顔だって可愛いよ、かおりさんは」

「そういう事じゃなくて・・・」

「大丈夫だって。送るから。出ようか」



すっかり表情も口調もいつも通りに見える零と部屋の外に出て。待っていた風見さんの車の後部座席に二人で乗る。

風見さんは特に何も言ってこないけど・・・わたしも何事もなかったかのように振る舞えているだろうか。(顔は酷いことになってるだろうけど)


ちなみに今まで居た警察署の部屋は、公安の権限で有無を言わせずしばらく借りていただけで、署員達は詳しい事は何も知らないそう。

それから、故人安室透の周りはこれからバタバタすると思われる。コナンくんや優作さんは、きっと零が死んだとは思わないだろうけど、それとなくやり過ごしてくれって。


車はわたしの自宅前に着き。

風見さんに今までの諸々のお礼を言い。
零を見ると・・・清々しくもどこか切なそうな顔で・・・なんだかまた胸が苦しくなってくる。
だけど少しも苦しくないフリをする。


「零・・・元気でね。仕事頑張り過ぎて体壊さないように。たまにはちゃんと休んでね」

「ああ。かおりさんに余計な心配は掛けないようにする」


「それじゃあ・・・」と車を下りる間際、零が早口でまくし立てるように「あの手紙ちゃんと読めよ」と言ってきた。

・・・何が書いてあるというのだ。

了承して車を下り、ドアを閉め。走り出した車が見えなくなるまで見送った。
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