第4章 標的は降谷零
「宗介さんの件ですが」
料理を待っている間に安室さんが話し出す。
「警視庁に問い合わせた所、ここ二週間以内で把握した身元不明者のリストに、該当はありませんでした」
「それは、喜んでいいんですか?」
「まだ何とも言えませんね、と言っても昨日の今日なので、現在分かっているのはそれだけです。もちろん引き続き調べます」
「お願いします・・・」
「でもかおりさんが思ったより元気そうでよかった。昨日はかなり落ち込んでるように見えましたから」
「昨日はね・・・東京で全然知り合いもいないし、ほんとにひとりぼっちになっちゃった気分で・・・」
「僕がいるじゃないですか。何でも頼ってください」
運ばれてきた料理を食べる。
しかし随分前から薄々感じてはいたが、周りの女性の視線が突き刺さって食べづらい。
この男がイケメンだからだな・・・
たしかに彼の顔面偏差値はかなり高い。
金髪の色黒は好みではないけれど、聞けば地毛に地黒だと言う。小さい頃はそれで虐められたりもしたそうで。
それを聞いて、私の中の彼に対する印象は少し良い方向へと変わったのは確かだ。
「あの後沖矢昴さんとは、大丈夫でしたか?」
「わたしの頭の中はグチャグチャですけど、何も聞けないし何も変わらずですよ」
「失礼ですが、彼とはお付き合いされているんですか?」
「いいえ?同居人で、お兄ちゃんみたいな感じですかね。やっぱり一緒に住んでるとそういう風に見えます?」
「昨日もかおりさんのことかなり心配してるように見えましたし、仲が良さそうだったので」
「仲悪かったら一緒に住んでられませんよ」
「でも、何故お二人で住まわれてるんです?」
「わたし達二人とも家主の知り合いなんです」
「工藤優作さんでしたっけ」
「そうそう。わたしは奥さんの有希子さんの方の親戚で」
「なるほど。美人が産まれる血筋なんですね」
「あんな美人は有希子さんだけです」
「僕はあなたのような女性、好きですよ。今日は特に、昨日とは雰囲気が違って・・・すごく綺麗です」
「そう、ですか?」
「僕と出掛けるためにその格好をしてくれたんでしょう?とても似合ってます」
・・・なんだか普通に照れてしまう。