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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第4章 標的は降谷零


待ち合わせ場所に到着する直前、わたしの横に止まった見覚えのある白い車。

運転席には、降谷零。とても組織の人間だとは思えない、爽やかな笑顔でこちらに手を振っている。

助手席に乗り込み、車が動き出す。


東京に来て間もないわたしの東京案内も兼ねながら、最近できたショッピングモールに行こう、と彼が提案してくる。

正直、人混みは苦手だ。向かう先は、人でごった返しているのが簡単に想像できる場所なんだけど・・・そこは素直に喜んだフリをする。


目的地に着けば、やはり駐車場から既に混んでいて、中に入れば酸素が薄く感じるほど、人だらけ。


「かおりさん、僕から離れないように」


手を取られて、自分の腕に掴まるよう言われ、彼のひじの辺りに手を掛ける。

彼の行くまま、連れられ歩いて。

さながらデートだ。
残念なことに頭の中は全くそんな気分ではないんだけど。


周りを見渡す素振りをしながら、安室さんを観察すると、彼の青い瞳が、素早く左右に動いていて。

食事をとる店を探しているのだろうか・・・

その視線がある一点で少しの間止まると、 進行方向へと視線は変わり、もう左右に揺れることはなくなる。

横目でその場所を確認すると、その方向にはソファが数台並んでおり、その奥にトイレ。

ソファの辺りには、娘や嫁の買い物に付き合わされうんざり・・・って感じの父親と思しき男性が数人いて。

その中に一人、あまりこの場所には似つかわしくない、スーツ姿の男性が。
もしかして、刑事?直感的にそう思った。


程なくして、食事の店を決めたはいいが、これだけ人がいるのだ。少し店の前で待つことになる。


「あの、わたし、お手洗い行ってきますね」


降谷零から離れ、スマホを手に持ちカメラを起動する。動画撮影に切り替えて、鞄の外ポケットに入れる。先程のスーツの男性が気になるのだ。


降谷零が視線を止めた場所に近付く・・・

その人はまだいる。しかも通話中だ。相手は降谷零だったりしない?

口元が”ふるや”と動いたように見えたのは、考えすぎか。

そのスーツの男性の近くを通りトイレに入ると、これは幸いなのかこちらも混んでいて、ゆっくり動画の確認ができた。

男性の顔がしっかり映っているのを見て、一安心。


用を足して安室さんの元に戻れば、席が空いたようで店の中へ案内された。
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