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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第30章 後始末とこれから


“安室透”が死んだのは、この短時間でもよく理解できた。でも“降谷零”が死んだとは到底考えられない。


「・・・これ・・・本当に零なの?」


ピクリとも動かないその身体の肩の辺りにそっと触れてみる、それから頬にも・・・って・・・なんだ。


「こんな縁起悪い芝居しないでよ・・・もう」

「ははっ、バレたか」


零の頬に触れた瞬間、その皮膚は明らかに冷たくなく、体温が感じられて。つまり生きてる。

指摘すると笑いながら彼は上半身を起こして、大きく腕を伸ばした。


「でもママは騙せてただろ?」

「そりゃもう・・・気の毒なくらいに」

「安室透はそろそろ消えないといけないからな」

「けどこんなやり方しなくても・・・」


ママはここから帰る際に、安室透に向かって「今かおりちゃんが来るからね」と言って去っていったそうで。それならわたしを驚かせてみようと思ったって・・・風見さんもグルだと。こんなの酷すぎる。どうかしてる。


零が風見さんに向けて何かを目で合図すると、風見さんは一礼して部屋を出ていき。

台から下りその場に立った零と、奇妙な室内に二人きりになる。


「どうしてかおりさんはここに来たんだ?僕が本当に死んだとは思ってなかっただろ?」

「それはそうだけど・・・でも“絶対”って確証はなかったし」

「昨日の手紙読んでないのか?」

「花束の?読んだよ?」

「家に帰ったらもう一度見てみろよ」

「・・・?うん」

「それから・・・分かってるだろうけど、安室透は、もういないからな。遺体は遠い親戚が引き取った事にするから」

「うん・・・」

「そんな寂しい顔するなよ・・・僕は生きてるんだし」

「うん・・・」

「さっき寝ながらかおりさんの事色々考えてたんだけどな。こればっかりは赤井の言う通りだったかも、って・・・」

「ん?」

「僕はかおりさんに近付きすぎた。もう少し距離を取っておくべきだった」


零の発言の意図が読めず、顔に“?”を浮かべて彼を見上げる。


「かおりさんが遠くに行ってしまうのがこんなに辛いなんて、あの時は考えもしなかった」


零がこちらに一歩近付き。
何かを察知したわたしは無意識に後ろへ一歩下がり足元の床を見つめる。

それを繰り返し、いつしか壁際に追い込まれてしまった。
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