第30章 後始末とこれから
それから一週間程が経ち。
零ことバーボンは、CIAから組織に潜入している本堂瑛海(元女子アナの水無怜奈)こと、キールと手を組み、突然幹部三名と連絡の取れなくなった組織の中で、残ったメンバーの統率を図ると見せかけ、幹部級のメンバー全員の身柄確保を実現した。
日本では公安警察、海外ではそれぞれの諜報機関が昼夜取り調べを続け・・・ラムやジンは一切口を割らないものの、ベルモットやウォッカ、他にも数名の幹部達から割れた情報を元に、組織の研究所や武器庫の場所、政財界との繋がりが少しずつ明るみになってきて。
組織に資金を提供していた資産家、人体を提供していた団体、武器や薬品を取り引きしていた会社等、様々な所に捜査の手が入り。
見えてきた組織の目的は、子供っぽい言い方だけど簡単に言えば“世界征服”だった。人の命を自由に操り、自分達に都合の良い世界を作りたかったんだと。
馬鹿げてると思ったけど・・・聞けば世界のほとんどの大規模テロ集団の最たる目的は、案外“世界征服”らしい。
宗介さんが探していた大事な人も見つかった。その人は、組織の研究所で新薬の開発を命じられていたらしい。
その研究所にあった薬品のデータのコピーが、現在哀ちゃんの手元にもあり、新一くんや、彼女自信の身体を縮ませた薬の解毒薬ができるのも、もう時間の問題だそう。
秀一さんは、哀ちゃんが元の宮野志保の姿に戻ったら、彼女の姉の事をちゃんと謝りたいと話している・・・
そして、世界規模の反社会的グループを制圧したというニュースが世間に向け大々的に公表され、数日後。
ついに秀一さんの父親と思われる人物が、秀一さんの弟、秀吉さんにメッセージを送ってきたと連絡があった。
その人物はアメリカにいるらしく、秀一さんは秀吉さんと一緒に明日渡米し、その人に会ってくる予定だと言う。
それが済んだら、真純ちゃん、それから彼女と一緒に居ると思われる母親に会いにいくつもりだそう。
わたしも、やっとパスポートの申請を済ませた。
明日、わたしはエラリーとポアロの皆と宗介さんも交えたメンバーに送別会を開いてもらうことになっている。
安室透は来れるかどうか分からないそうだけど。
最近安室透は“探偵業が忙しい”と、ほとんどポアロにも顔を出していないらしい。(そりゃそうだろうとは思う)