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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第30章 後始末とこれから


「・・・続ければいいじゃないですか。のんびりするのは、秀一さんがヨボヨボになって捜査官として使い物にならなくなってからでいいです」

「お前・・・それは強がりで言っているんじゃないよな」


怖いくらい迫力たっぷりな秀一さんの顔面が目前に迫ってきた。


「はい」

「本当に覚悟はできているのか」

「秀一さんと一緒なら、大丈夫です」


鼻先が触れそうなくらい近い距離から鋭い目に見つめられて。絶対逸らすもんかと視線を真っ直ぐに彼へと向け続けた。


先に目を伏せたのは秀一さんだった。
でも次の瞬間、僅かに彼の顔が傾き、更に距離が詰まり唇が触れて・・・


そのままわたし達は触れるだけのキスを延々と繰り返し。


わたしの頬に涙が伝っている事に気付いて、それは止んだ。


「どうして泣く・・・」

「分かりません・・・勝手に出てくるんだもん」

「かおりを泣かせるような事はするなと工藤親子には言われているんだが・・・俺はいつも泣かせてばかりだな・・・」


親指の腹で涙を拭われながら、酷く真面目なトーンで言われる。冗談なのか本気なのか、判別が難しい。


「・・・それ意味違うと思いますー・・・ははっ」

「やはりかおりは笑っている顔が一番良い・・・」


いつもの顔付きに戻った秀一さんに頬を撫でられる。

もう涙はどこかへ引っ込んだ。


「かおり・・・」

「・・・っ?」


掠れたような声で名前を呼ばれ。目を閉じた秀一さんの顔が再び近付いてくる。

またキスされるのかと思ったら、彼はそのままわたしの肩にもたれて、寝息を立て出した。

・・・相当疲れてたんだろうか。

秀一さんを起こさないよう、そっとソファに彼の身体を預けてそこから抜け出し、ブランケットを取ってきて秀一さんの身体にふわりと被せた。

秀一さんに似合わない、可愛い寝姿だ。

ふとカバンからスマホを取り出し、初めて彼の写真を撮ってみた。誰も見てないから別にいいんだけど、ニヤつき出す顔が抑えられない。


この人と一緒にいて、これから先何があるのか、それは計り知れないけど、わたしは秀一さんが大好きだし、こんなわたしでもなれるものなら・・・彼の力に、支えになりたいし、誰よりも傍にいたい・・・
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