第29章 捕われた子猫
秀一さんはおもむろに枕元へ手を伸ばし、看護師を呼ぶ為の所謂ナースコールのボタンを押した。(使い方間違ってる)
数秒後、当然備え付けられたスピーカーから「葵さん!どうされました!」という女性の声がする。
「葵かおりの検査結果はいつ出る」と秀一さんが言うと、
溜め息混じりに「出たらすぐにお伝えしますけど・・・まだしばらくかかりますよ・・・それと、急用でない限りナースコールのボタンは押さないようにお願いします」と最後はピシャリと冷たく返ってきて通話は切れた。
「秀一さん・・・コレは急変とかした時に押すやつです」
「用事があったら押せば良いんじゃないのか?飛行機のアレと同じだと思っていたが」
「そんな患者ばっかりだったら病院も大変ですよ・・・」
「まあとにかくだな・・・結果が出次第、一緒に話を聞きに行くぞ」
「はい!」
「それまでは・・・しばらくかかるようだし」
秀一さんに身体を倒され一緒にベッドに横になる。
彼はいつから寝てないんだっけ。相当疲れも溜まってるだろうし、しばらくの間だけでもゆっくり休んでもらいたい。
なのに。背中を抱かれながら何度か軽く唇を合わせている内に秀一さんの手はお尻や胸を触り始めて、開いた唇の隙間から舌まで差し込まれてきた。
秀一さんの肩を押して顔を離す。
「ちょっ、と・・・ダメですよ・・・」
「何がだ」
「ここ病院・・・っん!」
「だから何だ、こっちはもうスイッチが入った」
「ん・・・でもっ」
ほとんど無理矢理に口付けられて、身体の上へ秀一さんが乗り上げてくる。耳を甘く噛まれて首筋を舌が這う。
ダメなのに・・・どうしよう、気持ちよくて・・・もっとしてほしくなるから困る・・・
簡素な作りの検査着なんてあっという間に肌蹴させられてしまい、下着も外され。
乳首の先を指の腹で擦られて、上がりそうになる声を必死で抑える。
片方の先を口に含まれ音を立てて吸われれば、背中が仰け反り、ピクンと跳ねる。
・・・もう身体は熱い。
「しばらくしてなかったからな・・・」
「そう、だけど・・・っ!っ・・・ぁっ」
たしかに最近バタバタ慌ただしくて、一緒には居るものの、こういう事に及ぶのは久しぶりで・・・
だからって、今してもいいって訳でもないけど・・・