第29章 捕われた子猫
毛利探偵事務所の隣、いろは寿司で仕事中のラムを見張るのは、外国人観光客を装ったジョディとジェイムズに。
バーへ侵入するのは、コナンと、彼の知り合いだという“ヤツ”に任せることになり。
赤井とキャメルは、降谷とかおり、コナン達、ジェイムズ達、誰が窮地に陥ってもすぐに駆け付けられるよう、中間地点で車で待機。
工藤夫妻は変わらず工藤邸に留まり、優作に司令塔となってもらう運びとなる。
コナンの言う“ヤツ”からもOKの返事が来たようで、皆散り散りに自分達の持ち場へと向かう。
その頃降谷は杯戸プラザホテルに待機していた風見と合流していた。
ホテルの地下駐車場には、ジンのポルシェ、ベルモットのハーレーがそれぞれ確認できている。
先程工藤邸で決まった内容を風見に伝え、直に公安からも応援がくるから彼らと合流しそのまま待機する事を命じ。
一人ホテル内へ入っていった。
ジェイムズとジョディも寿司店に到着し、昼時の忙しい店内で板前としてせっせと働くラムを確認。席に着き、一(いち)観光客を装う。
キャメルの運転する車に赤井(勿論沖矢の姿だが)とコナンは乗り、例のビル前に着くとコナンだけが車を下り。
車が去りしばらくして、“ヤツ”が現れた。
「ったくよー・・・手を貸すのはいいがいくら何でも急すぎねーか?名探偵」
「わりぃな・・・ちょっと急に厄介なことになっちまって・・・」
キャップを目深に被り頭を掻きながら現れた“ヤツ”。出で立ちこそ普通の若者だが、その正体は、世界を股に掛ける大泥棒、怪盗キッド・・・
「仕方ねぇな、チャッチャとやって終わらせっぞ」
「ああ、頼む」
キッドがビルに備え付けられた監視カメラに何やら細工をしている間に、コナンがバーの扉を開け、中を伺う。
店内のカメラや盗聴器の類を確認して、二人は暗い店の中へ入る。
「マジであんだろーな、この先にビッグジュエルに繋がるもんが」
「期待していいと思うぜー?」
コナンは、キッドに助けを求める際、“成功すればとんでもない宝も手に入るかも”と見返りを提示していたのだった。
死んだ筈の大富豪を未だに“ボス”としている集団の秘密を暴くのだ。ボスが生前集めた財宝の類の手掛かりが見付かってもおかしくない。
二人は店内を一通り見た後、壁や床を物色し始めた。