第29章 捕われた子猫
「鍵とかトラップとか隠し部屋とか、すげぇ得意なヤツがいるんだよ!」
「へえ・・・その人は信用できるのかい?」
「それは大丈夫。秘密は守るし、それにヤツは絶対失敗しない」
「それは頼もしいな。僕の口からは言いたくなかったけど、こればっかりは赤井に託すしかないと思ってたからね」
「でもソイツがダメだったら赤井さんに頼むよ?」
「それは好きにしてくれ」
事が上手く運びそうな雰囲気に満ちてきた中。
降谷のスマホに今度はかおりからの着信があり、場が一気に静まり返った。
皆が見守る中、降谷がその電話に出る。
「もしもし安室です・・・かおりさん?」
「あ、安室さん?あ、の・・・っ!・・・、・・・ハーイ、バーボン」
かおりと思しき声の後に雑音が入り、かおりとは違う甲高い女性の声が響く。
「その声、まさか・・・どういうことだ」
「コッチが聞きたいわよバーボン、仔猫ちゃんを預かってるから、助けにいらっしゃい」
「何故そんな事をする?彼女には手を出さない約束だろ」
「そうも言ってられない事態になったのよ・・・ここは杯戸プラザホテルの512号室」
「僕が行けばかおりさんは解放されるのか?」
「・・・バーボンの身の振り方次第よ。身に覚え、あるんじゃないの?」
「何の事だ・・・なあ、そこにジンもいるのか?」
「いるわよ?だから、早く来なさいって言ってるの。早くしないと」
「分かったから、絶対に彼女には指一本触れるなとジンにも伝えておけ」
「Okay,okay...I got it...」
電話は切れ、工藤邸のリビングが再び静まる。
「聞こえましたか?僕は奴らに何か疑いをかけられてるようです・・・かおりさんは僕のせいで捕われてるのかもしれません・・・本当にすみません・・・でも、責任をもって必ず連れ戻しますよ」
「・・・頼んだよ、降谷くん」
「はい。皆さんも、よろしくお願いします」
降谷は深々と頭を下げ、工藤邸を出ていった。
ほぼ入れ違いでジョディとキャメル、それにジェイムズがやって来て、優作が事の次第を彼らに説明する。
コナンはと言うと・・・先程から一人、皆から離れてスマホを操作し、先程の“鍵やトラップや隠し部屋の得意なヤツ”に連絡を取っているようだ。