第29章 捕われた子猫
ジンとラムの動向が分かっていて、尚且つ昼間でありバーが無人の今、バーに侵入して秘密を探るのにはもってこいなのではないかと降谷は言う。
「侵入がバレたら全ておしまいになるかもしれませんが・・・どうでしょうか?」
「すぐには、頷けない・・・少し考えさせてくれ」
優作を始め、沖矢も、コナンも黙ってそれぞれ考えを巡らせる。
「皆さん考えながらでいいので聞いてください。おそらく僕はこれからベルモット達に呼び出されかおりさんの所へ向かう事になると思います。言い方を変えれば直接奴らを見張れる訳です。ラムにもどなたか見張りを付けてください。その状態でバーに侵入し、もしも組織の人間に不穏な動きがあれば侵入は即中断、ですがもしも・・・侵入の結果、組織を潰せる程の何かを掴めたなら・・・即座にジン、ベルモット、ラムを抑える、という事でいかがでしょうか。人員は公安で用意します」
「・・・大体良さそうだけど、どうやってバーに入るの?鍵は?安室さんはかおりさんの方へ行くんでしょ?」
コナンの質問に、降谷はポケットから小さな物を取り出し皆の前に差し出す。
「既に合鍵は作ったのでご心配なく」
「いつの間に?」
「これくらい、朝飯前だよ」
「・・・でももし組織を潰せる程の秘密があのビルに無かったら?安室さん達はどうやって逃げるの?」
「その時はベルモットを上手く利用して逃げるさ。こっちは彼女の秘密をまた一つ握っている状態だからな」
「しかしバーに侵入できて、その裏に何かがあるとしても、そこにも組織の人間がいるんじゃないか?」
今度は優作が尋ねる。
「一応僕だって組織の幹部です。それなのにこの店の事は何も知らされていません。誰かが見張っているとは考えにくいです」
「たしかにそうだが・・・更なる鍵やトラップの可能性はどうだね」
「鍵はおそらく店内で保管されているのではと踏んでいますが、見つからない場合は・・・」
するとコナンがいきなりその場に立ち上がり、大きな声を上げる。
「あっ!だったら!・・・でもなー」
「どうしたんだい?コナンくん」