第3章 本当のあなたは
翌日。
いつものように起きて、沖矢の姿になってる赤井さんと、来客を待つ。
玄関の扉が開き、誰かが入って来る音がした。
「来たな」
チャイムも鳴らさない客なのか。
「おはよう!赤井さん、かおりさん」
「おはようボウヤ」
「おはよう、コナンくん?どうしたの?」
「作戦会議でしょ。聞いてないの?」
「聞いてるけど・・・コナンくんと?」
「そうだよ?ボク今日学校は休むから」
「このボウヤは頭がかなりキレるぞ。FBIも一目置く位な」
わたしが安室さん、つまりバーボンと昨日接触した事、宗介さんの失踪は組織のせいである可能性が高い事、どこまでわたしがこの話を理解しているのかを話し、奇妙な三人での作戦会議が始まる。
「安室さんはかおりさんから昴さんの情報を探りにくるだろうね」
「今日にでも連絡が来たっておかしくないだろう」
「かおりさん、気を付けてね」
「わたしは大丈夫」
「本当に大丈夫か?お前が口を割らなければ安室くんはきっと誘ってくるぞ?」
「誘うって?」
「男女の関係にだ、情報収集の常套手段だ。お前、できるか?」
「・・・安室さんと?」
「嫌なら断ればいいが、誘いに乗ったフリをして上手く立ち回れば逆にこちら側のチャンスにもなる。人間一番気が緩むのは、最中か直後だ」
「ちょっとコナンくんの前で・・・」
「だ、だいじょうぶだから気にしないで続けて!」
「バーボンのその手のスキルは組織の中でもトップクラスだ。かおり、彼の策に溺れるなよ」
「安室さんイケメンですもんね・・・でも絶対情報は渡しませんよ。逆に奪えるように努力します」
「その安室さんなんだけど、僕一昨日面白いことに気付いたよ」
「なんだ?」
「“ゼロ”って言葉に過剰に反応を示してた。子供の頃のあだ名だって言ってたけど」
「・・・やはりか」
「どういうことですか?」
「これはまだ推測だが、彼は公安から組織に潜入しているスパイだ。ボスに調べてもらうよ」
赤井さんが電話をかけ終わると、再び話し合いが始まる。
「彼は痺れを切らしてあと一つ二つ確信に近づけば、必ず俺の所に来るだろう。俺が生きている証拠は、俺自身でしかない」
「そうだね、ボクもそう思う。でも、考えがあるよ。ただ、いくつか条件が揃わないと・・・」