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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第28章 烏羽色の尻尾


秀一さんの読みは当たりどころか、大当たりとなる・・・


ジンの入店から約十分後、またバーの入口に近付く人物が現れた。

パッと見、中年、中肉中背の普通の男性・・・昨日の酒屋とは違う別の業者だろうかと思ったが、顔が確認できた瞬間、神経がザワザワと騒ぎ出した。

今まで何度も写真で見てきた顔・・・あの男だ。


「来たな・・・」

「じゃあ、あの人が・・・」


そこでまた秀一さんのスマホに着信があり。秀一さんが電話を取ると、スマホからコナンくんの興奮気味の声が漏れ聞こえてくる。


「もしもし、沖矢です・・・」

「二人とも見てるっ!?」

「ええ・・・これで二番手は確定かもしれませんね」


ジンと同様、辺りを少し見回して、男はバーの中へ入っていく。

・・・以前から、組織のNo.2、ラムではないかと疑いがあった三名の中の一人、脇田兼則だった。


「どうする?昴さん・・・」これはコナンくんの声だ。

「とりあえずかおりさんを向かわせます、僕の意見は彼女に伝えておく」

「分かった!待ってる・・・」


秀一さんが電話を切り、喉の機械をいじり。なんとなく目が合ったまま、数秒・・・


「・・・脇田がラムなんですか?」

「その可能性が高そうだ・・・かおりだったらどうしたい」

「せっかく最高クラスの幹部二人が揃ってるんなら今二人まとめて抑えられたらいいのに・・・でも抑える口実がー・・・」

「その通りだな」

「絶対ダメって・・・言われるでしょうけど・・・例えばですよ?」

「何でも言ってみろ」

「今わたしがあのバーになんとか客として入って、ジンと脇田に接触します、彼らに都合の悪いことを言えば、わたしはきっと捕えられるか殺されかけるかするでしょ?」

「囮になると言うことか」

「そうです・・・殺される前に拉致監禁とか殺人未遂かなんかで逮捕できないですかね・・・」

「まず大前提だが、お前にその囮はさせられん。それにその程度の犯罪では、組織の息のかかった警察官僚に揉み消されて終いだ。もっと隠しきれない程の重大な悪事の証拠を以て突き出さねば・・・」

「・・・うーん」

「しかし今のあの店の中の様子は非常に気になる」

「・・・接触はしなくとも、会話だけでも聞けたら・・・」

「行くか?沖矢と一緒に」

「・・・いいの?」
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