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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第28章 烏羽色の尻尾


ここは、飲食店がズラズラと軒を連ねる一方通行の細い路地。低階層の建物がほとんどだが、例のバーのあるビルの裏、一本隣の道は大通りで、そちらには大きなビルや病院、マンションが並んでいて、有名企業なんかもあったりする。

張り込みは主に飲食店から行う事になったそう。数時間毎に店を替え、ほとんどの店が閉まってしまう朝方は、急遽借りられた空き店舗や車の中から行うそうだ。

三人して窓の外を見ながら、たまに食べ物を口に運びつつ、ボソボソと会話を続ける・・・


「あ、男が近付きます」

「酒屋・・・だな」

「ですね」


例のバーに酒屋が配達に来たようだ。路上に停められたバンに書かれた会社名をすぐにネットで検索する。

その男は例の店の鍵を開け(業者は飲食店の鍵を預かっている事がよくあるそう)、中に入り、しばらくするとおそらく空になった容器であろう物を抱えて出てきた。

そしてまた車に乗り、少し走ってまた止まり、今度は別の店へ向かっていく。


「今のは普通の配送だよな?」

「普通に見えたけど」

「まあ、かおりさんはそろそろ帰れよ」

「えー・・・うん」


もう少し見ていたいけど・・・たしかに秀一さんを待たせてるし、要件はとっくに済んでる。ちょうどグラスの中のウーロン茶も、すぐに飲み干せる量になっていた。

グラスを空にし、お金を置いて、居酒屋を出た。

スタスタと歩いて、車のある所へ戻り。
秀一さんに、降谷零も心当たりはないそうだと伝える。

優作さんに電話をかけ、“彼もその件に心当たりはないそうです”、“わたし達は一旦家に帰って例の所へ向かいます”とだけ伝え。

一旦家に帰って、着替えを数着分用意して、もう一度車に乗り込んだ。

今からわたし達が向かう先は、なんと立派なシティホテルなのである。

例のバーからは結構離れてはいるが、上の方の階からならバーの入口周辺を見張れるそうで。
(肉眼で見るには遠い距離なので、秀一さんは何やら色々荷物を持ってきている)

二週間まるまる部屋が取れたのも驚きだが、ホテルに着き、案内された部屋がとっても広くて綺麗な事に更に驚いてしまった。


「・・・張り込み感ゼロですね」

「だが位置取り的にはベストだ、それに二週間通して空けられる部屋も此処しか無かったそうでな」

「これも経費になるの?」

「当然だ」
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