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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第28章 烏羽色の尻尾


こちらの持っている情報と宗介さんが掴んでいる情報をざっくりと交換し。

最後に昴さんの正体の事は誰にも話さない事を約束してもらう。


今日の今日宗介さんを連れ出すのはさすがに無理があるから、まだしばらくここに居てもらう事にはなるけど・・・
SIMの入ったスマートフォンと充電器を、もしもの時の連絡用として渡して。

これで今日ここですべき事は終えたか、と思ったが。


「かおりさん、あと一つ、報告していない事がありますね」

「ん?何かありましたっけ?」

「僕達の事ですよ」

「僕達・・・?」


昴さんにそう言われ、何か話し忘れた重要な事がまだあったのかと頭を巡らせる。


「ご報告が遅くなりましたが・・・昨年よりかおりさんと、真剣にお付き合いさせてもらっています」


昴さんが深々と頭を下げたからビックリしてしまった。

たしかに、宗介さんはわたしの父のような存在だけれども・・・こんなにかしこまらなくてもいいのに。しかもこのタイミングで言うのか。


「そ、そうなんです!付き合ってるんですわたし達」

「おいおい、なんだ?ひとつ屋根の下で暮らして情が湧いたか?」

「なんでしょうね、気付いたらお互い同じ気持ちだったようです」


宗介さんはしばらく斜め上を見上げ、昴さんに視線を戻す。


「沖矢くん、と呼べばいいのか?」

「ええ、今は沖矢で結構です」

「・・・失礼だが君の職業柄・・・この先葵に不安な思いをさせる事もあるんじゃないのか」

「愛した女性ひとりも幸せにできない男に国は守れませんよ」

「・・・それ位肝の座った男じゃねぇとな。よし、葵を頼むぞ」

「任せてください」


わたしはポカーンとそのやり取りを眺める。なんか・・・結婚の挨拶みたいだ。


「葵、お前も遂に・・・っ」

「ちょっと宗介さん?泣いてます!?」

「すまん、目にゴミが入ったかもしれん」

「もー・・・宗介さんもここから出たら、いい人見つけてくださいよ!東京は地元と違って星の数ほど女性がいるんですから」

「へいへい・・・言われなくても飛び切りの美人を捕まえてやるっての」


いつもの調子に戻った宗介さんに「また近いうちに来ます」と別れを告げ、建物を出て、来た道を戻る。

来た時よりに比べれば、いくらか気分は軽い。
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