第27章 遂に動き出せる
すると前方の昴さん達がわたしの状況に気付いたようで・・・その場に立ち止まり、じっとこちらを見てくる。
こちらは歩いているので必然的にみるみる距離は縮まり、腕を組み怖い顔をした彼らの前で、わたしも、ついてきた男の子も立ち止まる事になる。
「かおりさん、知り合いですか」
「いいえ?今そこで話し掛けられて」
昴さんが問うと、男の子は昴さんと安室さんを「誰だ?お前ら・・・」と睨み付け。
安室さんが、その男の子に一歩詰め寄り、顔を寄せて答える。
「この女性の連れですが・・・これ以上彼女に迷惑行為を続けるなら軽犯罪法違反で現逮しますよ」
「警察なのか?その頭で?」
「これでも結構上の階級なんですけどね。分かったら、彼女から離れてください」
「ったく、めんどくせーな・・・」
男の子はブツブツ言いながら去って行ったものの。
先程から一緒にいた女子達がキャーキャー騒ぎ出す。
「おにーさん達、警察官なんですかー?えーカッコイイー・・・」
「違うんです、今のは追っ払う為に言っただけで・・・僕は本当は探偵、プライベートアイです」
「えーそれもいい!じゃあ、メガネのおにーさんは何者なんですかぁ?」
「僕は東都大の院生です」
「えっ!すごーーーい!課題手伝ってほしーなぁ・・・将来はどうするんですかー?」
正直うんざりである。とっとと例の男子学生の所へ連れてってよー・・・と心の中で呟いた。
安室さんも昴さんもまたニコニコしてるもんだから次第にイライラしてきちゃうんだし。わたしって心が狭いのかもしれない。
「かおりさん、気を付けてくださいね?あれ位の歳の男なんて、おそらくロクなこと考えてませんから」
昴さんのその言葉に、“それはこっちのセリフだよ!”と言い返したい気持ちを抑えて、「・・・はいはい」と応えた。
ここで喧嘩したって良い事はきっとひとつも無い。黙って彼らの後をついて歩いた。
そして、ようやく例の男子学生を見つけた。友人と楽しそうに喋っている。
案内してくれた女の子達に礼を言い、しばらくその彼の様子を伺ってみる。
一見どこにでもいそうな大学生だ。
すごく賢そうにも見えない、言い方は悪いが、どちらかと言えば馬鹿寄りの雰囲気・・・
こんな子と宗介さんに何か繋がりがあるのか?
彼が一人になるのを待ち、話し掛ける。