第27章 遂に動き出せる
普段通りの雰囲気で始まったドライブも、目的地が近くなってくると次第にピリピリしてくる。
最近は個人情報の保護が徹底されている反面、SNSから個人情報を容易に探る事もできたりして。
例のメールの発信元である人物の容姿や大学も、ネットで調べて分かったそう。
わたしもSNSを開き、その男子学生のアカウントを検索して・・・顔を頭に叩き込む。
大学に着き、気を引き締めて、学生達が行き交う構内へ入る。
すれ違う学生達は皆イキイキしてて、活気があって。こんな溌剌とした雰囲気は久しぶりかもしれない。
でもしばらくすると、早速よそ者だとバレたのか、妙に学生からの視線を感じる気がする。
学生達の視線の先はどうやら・・・昴さんと安室さんのようで。特に女子達の目がキラキラしてること・・・
きっと今彼女達は、“私はあっちがタイプー!”とかヒソヒソ話してるんだろう。
そんな事を思っていた矢先、ちょっと派手目の女子大生二人組に話し掛けられた。ちなみに彼女達の目線には、おそらくわたしは入っていない。
「ウチの大学の方じゃないですよねー?どちらにご用ですかー?私達、案内しますー!」
ああ、これ、ナンパだな。
昴さんも安室さんもニコニコ対応してる中、わたしは一人真顔で別の方を向き、会話の内容だけを耳に入れる。
幸か不幸か、その彼女達は、わたし達の探していた男子学生を知ってたようで。その子が居そうな場所まで案内してもらう事になるんだけど。
彼女達に連れられ、構内を歩くのだが、わたしは前方の四人から少し離れて後ろを一人ついていく。
するといきなり視界の端に現れた男の子に声を掛けられる。
「あれー?見ない顔だけど学部どこ?俺・・・」
「・・・わたし学生じゃないから」
「へえ、でもいいや。何しに来たの?」
「ちょっと用事」
「どこにー?・・・って、ちょっと待ってよ」
まさかのこっちまでナンパか。学生って、暇だな・・・
適当にあしらって昴さん達に追い付こうと足を速めた。