第27章 遂に動き出せる
会の翌日。
今日はエラリーの定休日なので、電話でママに「二週間程探偵の仕事が立て込みそうで、バイトに出られない」旨を伝える。
「まぁ、良いわよ。そういう約束だものねぇ」
「すみません・・・」
「でもかおりちゃんもなの?安室くんもさっき全く同じ事言ってきたのよ?さては二人でお出掛け」
「違います!仕事です!でもたしかに嘘っぽく聞こえちゃいますよねー・・・」
仲の良いバイトが二人同時に休みたいと言い出したのだ。そう思われて当然だ。
でも致し方ないのだ。今回は何と思われたって構わない。
「大丈夫よ!安室くんと楽しんでらっしゃい!」
「だから、仕事なんですってママ・・・」
「行き先は海外かしらぁ?」
「・・・休ませてもらう手前恐縮なんですけど・・・遠出はしないんでお土産は期待しないでください・・・」
通話を切り、時刻を確認する。あと少しで待ち合わせの時間だ。
今日は、昴さんと安室さんと、例のメールの送信元の学生に会いに行く。
昴さんと家を出て待合せ場所まで歩くと、既に安室さんは来ており、いつもの白い車から降りて、後ろに人が乗れるよう座席を倒している。
・・・体格的に言えば、わたしが後部座席か。彼の車の後ろに乗るは初めてだ。でもあの二人を前に並んで座らせるのは・・・なんだかなぁ・・・心中複雑である。
「こんにちは!」
「すみません、お待たせしました」
「いえ、僕も今着いた所です。かおりさん、後ろにどうぞ」
「はーい」
やっぱりわたしが後ろみたいだ・・・乗り込んでみると、なんとめちゃくちゃ狭い。絶対この車の作り、後部座席の人の事考えてない。
昴さんが助手席に乗り、安室さんも運転席に座り直し、早速都内の某大学を目指す。
「かおりさん、後ろ狭いですよね・・・大丈夫ですか?」
「・・・わたし安室さんよりだいぶ足短いから、思ってるより大丈夫ですよ」
「ハハッ、女性ですからね」
「女って言うか・・・この中で日本人体型はわたしだけだもんなぁ・・・」
零も秀一さんも、背が高いのは勿論の事、腕も足もすらっと長いのだ。
「何か気にしてるんですか?かおりさんはそのままで充分なのに」
「僕は全く気になりませんよ」
「わたしは気になるんですー・・・」