第27章 遂に動き出せる
メールの送信元の学生に話を聞き、安全に張り込める場所をいくつか確保でき次第開始する事に決まり、会は終了する。
降谷はそそくさと席を立ち、自分の使った食器をキッチンへ片付けると、コナンを連れて帰っていった。
部屋には工藤夫妻とかおり、沖矢だけになり、かおりはずっと気になっていた事を、優作に尋ねた。
「優作さんって、降谷零と面識あったんですね。いつの間に?」
「ああ。前に一度話す機会があってね」
「へえ・・・でも家に入れて大丈夫だったんですか?新一くんの事とか嗅ぎ回ってるんじゃないの?」
「勿論聞かれたさ。死んだと報告を上げてくれと頼んだよ」
「それで彼は納得しました?」
「していないだろうな、でも話してみて彼は悪い人間じゃない事は分かったよ」
「今回の事も今日の今日なのにもうあれだけ調べてくれてましたしねー」
「かおり」
「秀一さん?」
変声機のスイッチを切った沖矢が、かおりの後ろから呼びかけた。
「俺達は降谷くんには内緒で動くぞ。手伝ってくれるな?」
「・・・そっか!はいっ!もちろんです!」
今回赤井は、かなり離れた場所からバーの入口を見張るつもりなのだ。かおりにはそのサポートをさせると言う。
仕事を与えられて満面の笑みで快諾するかおり。対して、やるせなさそうな表情の優作・・・
「俺達も帰るぞ。優作さん、有希子さん、お邪魔しました」
「えっ!もう帰っちゃうのー?寂しーい・・・」
残念がる有希子に二人は礼を言って、工藤邸を後にした。
客達が帰り、静まり返った広い部屋の中で、優作は大きな溜め息を吐いた。
「かおりちゃんは極力関わらせたくないんだがな」
「大丈夫よ、かおりちゃんには、緋色の捜査官が付いてるんだからっ」
「まあ、降谷くんもいる事だし」
「すっごいわよねー・・・イケメン捜査官二人に護られてるなんて」
「有希子・・・この場合顔面の良さは関係ないと思うぞ・・・」
今回の捜査で、かおり達は有力な情報を得る事はできるだろうか。
組織の壊滅とまでとはいかなくとも、それに大きく近付かせる事ができれば上等だが。
夜も更けていき、それぞれ各々の考察を頭に巡らせながら眠りにつく。