第3章 本当のあなたは
「彼は赤井秀一が死んだとは思っていないようでな。さっきも物凄い顔で睨まれた。あれは十中八九俺の正体に気付いている」
「それは殺されるかもってこと?」
「どうだろうな」
「わたし・・・安室さんに、沖矢さんは警察関係者の仮の姿かもって言っちゃいました・・・」
「他に俺の事は何か話したか?」
「いえ・・・」
「なら問題無い。沖矢昴を調べれば誰でもそう思う」
「そっか・・・でも、安室さんは悪い人じゃないと思いますよ?」
「そうか?」
「あなたのことも相談したんですけど“僕は身分を偽っている者の気持ちが分かる、彼を信用しろ”って言われました」
「・・・成程」
「宗介さんが帰って来ない原因の組織にも心当たりあるみたいで、調べてくれるそうだし」
「その組織とは何だ」
「なんか、世界中で活動してて、なんだっけ・・・宗介さんのメモ、写真撮ってあるから」
彼にスマホを見せる。
「・・・これは、俺を殺したことになっている組織だ」
「嘘・・・」
「俺のいるFBIはこの組織を壊滅させる為に日本で動いている。工藤さんやコナンというボウヤも同じだ」
「うそ・・・」
「君が良ければ、こちら側に加わらないか?宗介さんの行方も分かるかもしれん」
「・・・わたしに、何ができますか?」
それから長い時間、赤井さんと話した。
赤井さんはかつてその組織に潜入していた事、安室さんはその組織のメンバーで、組織の中でのコードネームは“バーボン”である事も聞いた。
今のわたしにできることは・・・おそらく安室透がこれから頻繁に接触してくることが予想されるが、赤井さんに繋がる情報は決して渡さず、向こうがどこまで掴んでいるのかをこっそり把握すること。
それから、毎日盗聴器やカメラを仕込まれていないか、自分自身も、事務所も、この家も、必ずチェックするようにということだった。
先程の玄関での謎の行為は、盗聴器の確認だったのだ。
一度に多すぎる情報を詰め込まれた頭はもうパンク寸前で。
「赤井さん・・・もうなんか話のレベルが凄すぎて脳ミソがついていけません・・・」
「今日の所はこれくらいにするか。明日こちら側の人間をもう一人交えてまた話そう。飯食って酒でも飲むか」
「はい。もうこの話一旦止め!」