第25章 異次元の狙撃手、その裏側。
真純ちゃんや太閤名人の姉になるということは、世間一般的には、わたしは秀一さんの妻になるってことだよな。
・・・どう言葉を返せばいいのか。目の前の一点を見つめて、固まる。
「どうした」
「どうしたって・・・その・・・」
「俺はそういうつもりだ・・・お前もそのつもりでいてくれ。組織絡みの件が片付くまで、まだ暫く待たせると思うが」
「・・・っ、はい」
先程から勝手に繰り返されている、パチパチと速いまばたきが止まらない。
こういうときってどうしたらいいんだろう。
何しろ初めてのことで全く分からない。
「秀一さん・・・どうしよう・・・」
「ん?」
「身体が震えて・・・」
横から腕を回され、その腕の中に閉じ込められた。
秀一さんの身体があったかい。でもその身体が小刻みに揺れ出して。
秀一さんは額をわたしの頭にくっ付けて可笑しそうに笑う。
「震える程嬉しいのか」
「だって・・・こういうの・・・初めて、なんですけど」
「俺だってそうだ。まあその時が来たら・・・その時はちゃんと言わせてくれ。お前泣くなよ?」
「分かりませんー!今だってちょっと泣きそうなのに・・・」
太閤名人には、名人が来た事で騒ぎになると迷惑をかけるかもしれないから、今日みたいな楽な格好で、尚且つ店が空いている午後二時以降に来れないかとメッセージを送った。
またすぐに、了承の返事があった。
その夜は寝る前になっても胸が変な調子でドキドキしたまま落ち着かなくて。
ベッドに入って、秀一さんにほんの少し触れられるだけでもピクっと身体が強ばり。
でも優しく肌を撫でられ、耳元で特に理由も無く名前を呼ばれたり・・・愛を低い声で囁かれるうちに、硬かった身体は解れて頭の中までどろどろに蕩けていって。
甘くも激しくも、何度も身体を重ね合わせた。