第25章 異次元の狙撃手、その裏側。
今日真純ちゃんの病院へ行った時のことを話す。
彼女の意識は戻っていて、すっかり元気そうだったこと。
それから偶然太閤名人に会い、連絡先を交換した、秀一さんと彼を会わせることが出来るかも知れない、ということ。
「・・・赤井秀一の名は出していないな」
「はい。でも彼氏が太閤名人の大ファンで、今日はその彼氏の妹の見舞いに来てる、とは言いました」
「成程・・・だがなぜお前と秀吉がそこまで話す事になった?」
「偶然エレベーターで一緒になって少しだけ話して・・・その後どうしたらいいか分かんなくて、真純ちゃんの部屋を少し気にしながら一回部屋の前を通り過ぎたんです。そしたら太閤名人がついてきて声を掛けられました」
「・・・その男は本当に秀吉だろうな」
「あっ!誰かの変装ってこと?・・・そこまで考えてなかった・・・そっか・・・」
「いやしかし・・・わざわざ誰だか分かりにくい格好の秀吉に変装するメリットが無い。おそらく本人だろうが」
「じゃあ大丈夫、か」
「十中八九、お前の恋人は赤井秀一だと思われているだろうな」
「・・・そう思ったから連絡先聞いてきたんですよね、きっと」
「ああ」
「じゃあ、会いますか」
「早い方がいいな」
「メッセージ送ってみます」
「頼む」
スマホの画面ロックを開き、メッセージアプリを起動する。
まだ何のメッセージのやり取りもない太閤名人とのトーク画面。文字を打ち込んでいく。
“こんばんは!今日病院でお会いした葵です。
今日のこと彼氏に話したら、やっぱりすごく羨ましがってます。
ぜひ今度は、彼も交えて名人のお話が聞きたいです!”
「こんな感じでいいですかね?」
「まあ、どんな内容でも食い付いてくるのは目に見えているがな」
「それもそうですね・・・」
送信すると、すぐに既読のサインが付き、間もなく太閤名人から返信があった。
“こんばんは。今日はありがとう。
早速だけど明日の午後はどうかな?”
「早っ!」
「明日お前仕事は?」
「エラリーです」
「ならそこでいいか・・・」