第25章 異次元の狙撃手、その裏側。
「早く良くなるといいですね」
「アイツは身体は頑丈な筈だからな」
秀一さんとベッドに入り、すぐに眠るでもなく真純ちゃんの事を話したり、今日の事件のことを聞いたり、タブレット上で浅草周辺の地図を見たりしていた。
犯人が殺したい人物はあと一人だと思われる、それを今度こそ阻止せねばと皆躍起になっているそうだが中々次の動きは読めないそうで。
秀一さんと頭を並べて、今までの犯行現場に置かれた空薬莢とサイコロの画像を眺める。
「こういうのは、意外と子どもやお前みたいな奴に考えさせると解けたりする事もあるんだが・・・どうだ?」
「子どもみたいで悪かったですね・・・」
「そういう意味じゃない」
タブレットをベッドの脇に置いた秀一さんがくるりとこちらに向き直り、手を伸ばしてくる。
「かおりはどう見たって大人の女じゃないか・・・」
そう言いながら身体の線をなぞられ、乳房に手が重ねられる。
「もー・・・」
今度はわたしが逆の端を向き、彼に背を向ける。
数秒後、肩を掴まれ身体を元に戻されて、ニヤついた秀一さんの顔が真ん前に来た。
「そう怒るな」
「怒ってないですー」
「目が冷めている」
「秀一さんに言われたくない!」
ふざけるようにじゃれて、最終的にはキスをして、乱れた布団を直し、わたしは眠りにつく。
秀一さんはその後もしばらく、またタブレットと睨めっこだったようだが。
次の日。
事務所で仕事をしていると、“沖矢昴”からメッセージが届いた。
内容は、“行ってくる、遅くなるかもしれない”、だけ。
ついに次の犯行現場に先回りできるのだろうか。
もしそうなのなら、コナンくんや真純ちゃんのように犯人に見つかって撃たれたりしないだろうか・・・
ゾワゾワと鳥肌が立つ感覚が全身に起こり、一気に仕事が手に付かなくなり。
何を思ったのか、自分の事ながら理由は説明できないんだけど、わたしは事務所を早閉めして、小さなフルーツ盛りを買い、真純ちゃんの入院する病院にひとり来ていた。