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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第25章 異次元の狙撃手、その裏側。


「・・・安室さんはいいよねー、何でもできて。完璧すぎてどうせわたしなんて足元にも及ばないよ」


一応外なので“安室さん”だ。
からかわれたお返しに、皮肉たっぷりに言ってやった。

でもそんなに冷たく言ったつもりは無いのに、彼の顔が少し切なげに俯いた。


「・・・そんな事無い。本当に大事なものをいつも僕は守れなかった」

「それは・・・っ、零のせいじゃない」


勿論後半は小声で言ったつもりだ。

彼は亡くなった友人達のことを言っているんだろうか・・・急にどうしちゃったのだ。


繋がれていた手をぎゅっと握り締められる、少し痛いくらい・・・けど何も言わず、空いている手を彼の拳を包むようにそっと重ねた。

目線を上に戻せば、零は・・・すごく辛そうだけどなんとか笑ってるように見えて。胸が痛くなる。


「ごめん・・・やな事思い出させちゃった」

「・・・かおりさん」

「なに・・・?」

「二人きりになれる所に行きたい・・・」


顔を寄せてきて、絞り出すような声で零が言う。

こう弱さを押し出してくる零にわたしは滅法弱い。いつもいつも・・・

それを彼は分かっててやってるのか。
辛そうに見えるのも、作為的なものなんじゃないかと毎度疑いもする、けど・・・

わたしの口から拒絶を意味する言葉は出てこず。





零は残りの水槽には殆ど目もくれず、ズンズン進路を突き進んで行く。手を引かれながらわたしも早歩きでなんとかついて行く。もう魚なんてまともに見ていられない。

水族館を出て車に乗り込むと、すぐにけたたましいエンジン音を上げながら車は走り出し、ほど近いホテル街へ入る。


「・・・家に帰るのかと思った」

「家だと尾行が無いか確認しなきゃ帰れないだろ、そんな余裕ない」

「・・・あれ、ここってこの前の」

「今気付いたのか?」


偶然なのか、そこは先日零と張り込みをしたホテル街で。
「泊まるんならどのホテルがいいー?」なんて呑気に話をしていた記憶が蘇ってくる。

まさにその時に良さそうだと言った建物の真ん前で車が速度を落とした。

まだ外は明るいのにこんな場所にいる事が特別やましく思えてきて・・・顔を斜め下へ背ける。

零がハンドルを切り、車は中へと入っていく。



種類もろくすっぽ見ず適当に零が部屋を選び、案内に従い部屋へ向かう。
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