第25章 異次元の狙撃手、その裏側。
その日の夜。
元狙撃兵に命を狙われる可能性がある人物の中で、唯一居場所が分からなかった一人がどうやらこの東京にいたようで、射殺されてしまった。
そしてまたしてもその現場には真純ちゃんとコナンくんが居合わせたようで・・・
今回は真純ちゃんが犯人に撃たれることはなかったけど、秀一さんの不機嫌さは増すばかりだ。
眉間に皺を寄せ難しい顔をし続ける彼に、少しでも気を落ち着けて欲しくて。
コーヒーをナイスタイミングで(わたしの中でだけど)淹れたり、今までの殺害現場と狙撃地点を地図上にまとめたものを作ったり、夜食の用意をしたり・・・「家事はしばらく全部やります!」と宣言し、出来ることは片っ端からした。
しかしそれからまたしばらくして。
容疑者だと思われていた元狙撃兵が射殺されてしまった。
つまり犯人は誰なのか・・・これから先も犯行が続くのか・・・続くとすれば誰が狙われるのかも・・・さっぱり分からなくなってしまったのだ。
東京の街は大パニックである。
容疑者が死亡したことで、“無差別殺人かもしれない”との噂が飛び交い、外を歩く人が激減し、“外を歩く際は傘をさせば大丈夫”なんてよく分からない対処法が流行り出した・・・
秀一さんは「これが無差別殺人だとは到底思えない」と言うので、わたしは今日も普段通り、普通に歩いて仕事(喫茶店の方)に出てきたけど、そのエラリーも開店休業状態だ。
ママと二人、ぼーっとカウンターの中からテレビを眺め。
手持ち無沙汰になるとティーカップの茶渋を落としてみたり、ポットの洗浄をしてみたり・・・
「今日はもう開けてても誰も来ないかもしれないわねぇ・・・」
「ですかねー・・・」
「かおりちゃん、帰ってもいいわよ?あとは私一人でも大丈夫だから」
そう言い出したママの言葉に甘え、まだ昼過ぎだがバイトを上がることになる。
現在家事を全て引き受けている身としては、少し有難い。
帰り道、スーパーで食材を買い込む。
秀一さんめちゃくちゃ頭使ってるだろうから・・・今日のおかずは甘辛いものにして糖分をしっかり摂ってもらって・・・尚且つ彼が好きだと言うアレにしようと決めて、自宅へ帰る。
そーっと家の玄関のドアを開けると、そこには赤と白の小さなスニーカーがきちんと向きを揃えて脱いであった。
小さな探偵さんが来てるみたいだ。