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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第25章 異次元の狙撃手、その裏側。


翌日の昼過ぎ。

今日は事務所の方に出勤している。相変わらず忙しい事務所ではないけれども、たまには依頼だってある。

先日零と張り込みながら調べた浮気調査の結果をまとめ終わって、依頼主に調査完了のメールを送る。

わたしと零とで浮気調査なんて・・・良く考えれば可笑しな話だ。
でも雰囲気の良い飲食店やホテル街での張り込みは、カップルに見える男女ペアで動くのが最たる王道でもある。
(だったら昴さんに頼めばいいんだけども・・・なぜかいつもそういう依頼があるタイミングで零が事務所に来たりするのだ)


腕を伸ばし背中の筋肉をストレッチしながら時計を見る。そろそろいつもの時間。今日はエラリーに彼が入ってるはずだ。

しばらく窓から階下を眺めていると、来た来た。安室透が二人分の昼ご飯を手に、エラリーを出てきた。

今日のご飯は・・・彼の持つ皿に注目すると・・・パスタのようだ。クリーム系か。それを目にした瞬間、一気にお腹の虫が騒ぎ出す。

心を弾ませながら事務所の入口を開け、上がってくる彼を招き入れる。


「こんにちは。かおりさん」

「待ってましたー!」

「・・・どうも待たれてたのは僕よりこっちみたいだけどな」


彼は苦笑しながらパスタの入った皿を軽く持ち上げる。


「そんな事無い!どっちもだよ・・・」

「嘘付け、さっきから僕の顔なんて見てない癖に」

「へへ・・・まあ座って!早く食べよ!麺伸びちゃう!」

「そうだな」


ソファに並んで座り、食事を始める。
今日のパスタは、寒くなってきたらポアロで出そうかと思案中の試作品なんだと。ウニクリームスパゲティだ。

味は間違いなく美味しい、でも価格設定が問題なのだ、いくら美味しくても高すぎてはポアロでは誰も頼まない、しかし生ウニを使わなければここまでの風味は出ない・・・
飲食店の店員同士らしい会話もしながら、くるくると麺を巻き上げては口に運んでいき、あっという間に皿の上はソースだけ。


「このソース・・・流すのもったいないなぁ・・・美味しかったぁ・・・」

「ほんといつも美味しそうに食べてくれるよな」

「美味しいからねっ!」


渋々皿を片付け、コーヒーを用意して、またソファに二人並んで肩を寄せる。

温かいカップを両手で包むように持つとじんわり熱が伝わってくる。
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