第25章 異次元の狙撃手、その裏側。
「もう帰ってきたのか。すまんがまだ晩飯は・・・」
「大丈夫です。あの・・・もしかしてベルツリーのこと、ですか?」
「知っているなら話が早い。犯人はおそらく奴だ、これからFBIと警視庁で合同捜査になる」
予感は大当たりだ。ベルツリーの事件を起こしたのも、FBIが追っていた元米軍兵のようだ。
「警視庁と合同・・・」
「指揮を執るのは眼鏡のボウヤと仲良しの目暮とか言う警部だ」
「ああ・・・よく聞く人ですね」
秀一さんは話しながら立ち上がり、キッチンへ向かい夕食の準備をし出した。わたしもそれを手伝う。
しかしそれにしても秀一さんが発する雰囲気がピリピリしすぎていて。なんだか、近寄りがたいくらいだ。
「ボウヤもなんだが・・・今回の事件に真純が首を突っ込んでいるようでな、先程容疑者を追いかけて撃たれたと・・・連絡があった」
「えっ!?嘘!ケガは?酷いの!?」
「いや、ヘルメットを撃たれただけで済んだようだが」
「そっか・・・いやでも・・・心配ですね・・・」
「ああ・・・」
だからか。秀一さんがこんなに殺気立ってるのは。
大事な妹が危険に晒されたら・・・たまったもんじゃないだろう。逸早く犯人を追い詰めて引っ捕らえたいはず。
でも今の秀一さんは表立って捜査したり、真純ちゃんを警護できる立場では無いし・・・出来るのは陰ながら動く事だけど・・・こっちまで歯痒くなってくる。
「わたしにも出来ることがあったら、何でも言ってください!」
「ああ、しかし・・・とにかく目立つ行動は控えろ」
「え・・・」
「万が一お前まで奴に狙われたら俺は・・・そいつを殺しかねん。今だってその衝動を・・・抑えているだけで・・・いつ爆発するか分からん位だからな」
「秀一さん・・・」
彼の包丁を持つ手に要らぬ力が篭っている気がして恐さ倍増だ・・・
とにかく料理を作りつつ、食べつつ、事件について入っている情報を秀一さんに教えてもらう。
何かを暗示しているような狙撃地点の様子、犯行の動機と思われる容疑者の事情・・・
それからこの犯人はまだ殺人を繰り返す可能性が高く、あと狙われるとしたらこの三人、と写真を見せられた。
その内一人は現在どこにいるのか調査中だが、二人は日本に滞在中とのことなので気を張らねばならないと・・・