第24章 交わらない男達の二日間
予想通りママ達は三十分もしたら眠そうな顔付きに変わり、程なくして二人揃って寝室へ入っていった。
再び奇妙な組み合わせの三人で酒を進める。
でもさすが安室透だ。彼が面白い話題を次々振ってくれるおかげで、特に退屈することも無く会話が続き、気付けば日付が変わりそうな時間になっていた。
「こんなに飲んだの久しぶりかもー」
「僕もです。でも昴さんもお酒強かったんですね。顔色がひとつも変わってない」
(昴さんは変装してるから変わる訳が無いのだけど)
「安室さんこそ全然変わってないですよ」
「そうですか?じゃあかおりさんだけですね、ぽーっとしてるのは」
「嘘っ!そんなに赤い!?」
「可愛いから、大丈夫です」
ニコニコと笑う二人から優しい目で見られると別の意味で顔が赤くなりそうで・・・肩を竦めて下を向き、身体を小さくする。
横に座っていた昴さんに肩を抱かれて、余計に熱が上がりそうだ。
「僕は・・・そろそろ休もうかな」
「えーっ・・・もう寝ちゃうんですか」
「きっとすぐには寝れませんけどね、これ以上お二人の時間を邪魔するのも悪いかなと思いまして・・・」
「お気遣いありがとうございます」
「ではお先に。おやすみなさい」
「お、おやすみなさい」
安室さんは去り際にわたしの頭のてっぺんをクシャっと撫でて奥へ消えていく。
昴さんと二人きりになり、途端にシンと静まる室内。
・・・彼もわたしも今考えている事は、同じだろうか。
決して甘くない雰囲気の中、目が合い、顔を寄せ合って、小声で話す。
「盗聴器・・・ありますかね?」
「無くても聞き耳を立てられている可能性は高いでしょう」
「ですよねー」
顔を離して、小さめの溜め息を吐く。本当は盛大に吐きたい所だがそこは控えめに。
「かおりさん」
「はい?」
「今日ずっと思っていたのですが・・・少し安室さんと仲が良すぎるのでは?」
「たしかに仲は良いですけど・・・ヤキモチですかー?」
「そうです」
「ふふっめずらしーい、昴さんがそんなこと言うの」
「そうですね、僕も酔ってるのかもしれません・・・かおりさんを虐めたくて堪らない」
「っ・・・昴さん!え」
目前まで距離を詰めてくる昴さんに抵抗しようと出した小声は彼に飲み込まれ、熱い唇に塞がれる。