第24章 交わらない男達の二日間
「たしかに僕達の関係は周りに大声で言えるようなもんじゃないけど・・・」
「うん」
「ただの浮気相手とかセフレとかじゃなくて・・・かおりさんのことは信頼してるし、すごく大事に思ってる。かなり特別な親友って感じかな・・・」
「うん、でも都合のいい関係って、前に言ってなかったっけ」
「ああ・・・言ったな。だって素の自分をさらけ出せて、僕の仕事にも理解があって、おまけに身体の相性まで良くって・・・これ以上都合のいい事なんてないよ」
「便利な言葉ー・・・」
「かおりさんが、僕とこれ以上付き合うのが嫌なら、それでいい。その気持ちに従う。でも、僕にはかおりさんが必要だ」
「どっちなの・・・」
「そう言うかおりさんはどっちなんだ?本気で僕を遠ざけようとしてるとは思えないけど」
「・・・」
何も言えず、黙ってしまった。
星空を見上げていた視線を、零へ向ける。彼もこちらを見ていて、そのまましばらく無言のまま固まる。
世の中の人達は、みんなこんな気持ちで浮気とか不倫をしてるんだろうか。
頭では倫理的に良くないと分かってるのに、その人と離れたくない。
「零・・・わたし・・・」
「うん?」
零の手が、頬へ伸びてくる。
優しく撫でられて・・・そんな風に触られたら・・・その次・・・唇が勝手に期待してしまう。
「わたしも、零が必要だよ・・・」
「そうか。よかった・・・」
安心したように笑った零は、身体を少しズラして、口付けてくる。
啄むように何度も小さなキスをされて、ふわっとした心地良さに包まれて身体から力が抜けていく。
唇が離れていくのが切なくて、もう一度を強請ると、今度は長く、しっかりと唇が触れて、また離れた。
「ちょっと・・・これ以上は・・・」
「うーん・・・そろそろ戻る?」
「惜しいけどなー・・・っ」
ぎゅうっと抱き寄せられて、優しく離されて。
先に身体を起こした零が差し出してきた手を掴んで、わたしも立ち上がった。
お互いの背中やお尻に付いた草を払って、皆のいる小屋へ戻る。
これでいいのか・・・