第24章 交わらない男達の二日間
沖矢と安室の話題はそのうちお互いの体力づくりの話になったり、料理や食べ物の話になったり、色々移ろいながらも再びかおりの事に戻ってきた。
「かおりさん、あのパーカー脱がないですかねー・・・って、すみません、つい」
「いえ、いいんです、僕も同じですから。先程も脱がそうとして怒らせてしまったばかりです」
「・・・もし昴さんがいいとおっしゃるなら・・・僕が偶然を装って脱がせましょうか」
「・・・面白そうですね、でも良識の範囲内でお願いしますよ」
「もちろんです」
互いの顔を合わせて頷き、何やらおかしな結託をした二人は、再び川へ飛び込み、泳いでかおり達のボートを目指す。
「ん?あれって・・・安室さん達じゃないですか?」
「あ、そうですね」
梓さんと二人でボートに乗って楽しんでいたら、梓さんがこちらに向かってくる彼らに気付いた。
彼らは顔を出したままスイスイと水をかいて、だんだん近付いてくる。何か楽しそうに喋ってる。
二人きりにしても特に問題は無かったみたいだ。
「あむろさーーーん!すばるさーーーん!」
名前を呼んで大きく手を振れば、彼らはあっという間にこちらまで辿り着き、わたし達の乗るボートの端に手を掛ける。
・・・水も滴るいい男、なんて在り来りな台詞が頭を過ぎった。
しかも濡れてるだけじゃなくて、水上に出ている上半身は裸だし。おまけに少し息を乱している彼らを見て・・・なんとも悩ましい気持ちにさせられる。
「一度ママの所に戻りましょう」
「喉乾いてませんか?」
「うん、そうですね、はい!」
まあそんないかがわしい気持ちにはすぐに蓋をして、ママのいるパラソルの所へ戻ることになり。
彼らが泳ぐ少し後ろをボートで追いかけるのだが、やっぱりその広い背中に惚れ惚れしてしまう。
二人とも無駄に格好良いんだから・・・
パラソルの下に戻ると、安室さんと梓さんが「何か買ってくる」と言い二人で売店の方へ向かい、ママも「ちょうど良かった!」と席を立ち御手洗に行き。
昴さんと二人、プラスチックの椅子に座り無言で川を眺める。