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エラリーの彼女【名探偵コナン】

第24章 交わらない男達の二日間


すぐに唇は離れ、直後昴さんと梓さんがザバっと水面から顔を出し、こちらに向かって泳いでくる。

咄嗟に意識を彼らの方に動かし、平然を取り繕う・・・煩く音を立てている心臓は無視だ。


「昴さん!落とさなくてもいいのに!ひどい!」

「おや、そうですか?皆さんはそうは思って無さそうですが」


安室さんと梓さんを見れば・・・楽しそうに笑ってるもんだから・・・悔しいけどそれ以上は反論しないでおく。




「安室さんありがとうございました・・・いつもかおりさんがお手間を掛けさせます」


まるで幼児を預かってもらってたみたいな昴さんの言い方に、思わずまたムッとする。
更に昴さんはわたしの肩に手を置き、反対の手で頭をポンポンと撫でてくる。わたしは子供か。




「かおりさーん!ボート乗りましょっ!」

「梓さん!はいっ!」


いつの間にかゴムボートの所に居た梓さんに声をかけられ、昴さんの手を払ってそちらに駆け寄る。

安室透と沖矢昴を二人きりにしても・・・今なら大丈夫か。




梓さんと二人ボートに乗り、岩場から離れる。


「わたしってそんなに子供っぽいですかねー・・・そりゃあ昴さんは大人ですけど」

「子供っていうか単に可愛いがられてるだけに見えますけどー?」

「嬉しくなーい・・・あっ、魚っ!」

「どこどこ!?」





かおりと梓が遠くへ離れた頃。
残された沖矢昴と安室透は当然ながら二人きり。

険悪な空気が流れる訳でも無く、二人は岩場に座り込み、かおり達の乗るボートを穏やかに見つめていた。


「かおりさんは、可愛らしい人ですね」

「ええ・・・可愛いですよ。可愛くてつい虐めて、いつも怒らせてしまいます」

「彼女を虐めたくなる気持ちはよく分かります、怒った顔もまた可愛いですからね」

「はい」

「僕は昴さんが羨ましいです・・・いつもあんな彼女と一緒に居られるんですから」

「おや、失礼ながら・・・安室さんが女性に困ることは無いと思っていましたが」

「僕はいつも一人ですよ。まあ自分で望んでそうなってる所もありますから、いいんですけどね」

「僕もそう思っていたんですがね。かおりさんと出会うまでは」

「かおりさんとなら・・・一緒になってもいいと・・・思ったと?」

「ええ・・・」
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